保育士として働き始めて1カ月で辞めることを考えている新卒の方もいるのではないでしょうか。入社して日は浅いものの、慣れない仕事に苦労していたり、園の雰囲気になじめなかったりして退職が頭をよぎる場合もあるでしょう。今回は、入社1カ月で辞めることを考えている新卒保育士さんに向け、判断するときのポイントなどを紹介します。
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■目次
新卒保育士が1カ月で辞めることは可能?
新卒で入社した保育士さんが1カ月で辞めることは可能なのでしょうか。
結論からいうと可能です。
しかし、リスクが大きいので充分に考えたうえで行動する必要があると言えます。
今回は、なぜ新卒の保育士さんが1カ月で辞めることを考えてしまうのかという理由から、辞める際のリスク、辞めると決意した後の流れについて紹介します。
辞めた方がよいケースとそうでないケースについても見ていきましょう。
保育士として勤務1カ月で辞めることを考えるのはなぜ?
まずは、どのような理由から保育士を新卒の入社1カ月で辞めたいと思ってしまうのかについて考えていきます。
入社前に聞いていた内容にギャップを感じている
きっと、多くの新卒保育士さんが就活に力を入れて取り組んだでしょう。その園で自分の思い描いたキャリアがきちんと叶うのかどうか、求人票を確認したり、見学で質問したりしたはずです。そこで見聞きしたことに偽りがないと思って選考に進み、内定の承諾、そして入社にまでいたったのではないでしょうか。
就活時のイメージに胸を躍らせ実際に入社し、当時見聞きしたことと実状が大きく違うのであれば、ショックを受けることは当たり前です。
特に、職場環境や仕事の内容など、自分の力だけではなかなか変えることができない要素でギャップを感じてしまうと、辞めたいと考えてしまうでしょう。
園の雰囲気になじめない
保育において抵抗を感じる慣習がある、人間関係が複雑といった園の内情や雰囲気は、園見学や求人票からは汲み取りにくいでしょう。
その雰囲気になじめず、退職を考えることもよくあります。
また、保育士間のコミュニケーションが活発で和気あいあいとした職場だと感じ入社しても、入社したばかりだと思ったようなコミュニケーションがとれないこともあるようです。
このまま長く働いてもきっと改善はしないだろう……と思うのであれば、辞めたくなるでしょう。
誰に何を聞けばよいかわからない状態にストレスがある
入社してすぐの保育士さんは、わからないことや不安なことがたくさんあるでしょう。しっかりサポートしてもらえれば問題ないのですが、フォロー体制がしっかりとしていない園も中にはあるようです。
勇気を出して質問をしても「それは私ではなく〇〇さんに聞いて」などと冷たく返されると悲しいですよね。
それが繰り返されると、誰に何を聞いてよいのかわからなくなり、かなりのストレスを感じてしまうでしょう。
過剰な指導により萎縮してしている
一方、指導が過剰なことも、辞めたいと考える理由になります。
何事においても指導があり、それに従わなくては圧力をかけられることもあるようです。自分の考えには耳を傾けてもらえず、いずれ自分の意見を発することさえやめてしまうかもしれません。
また、指導の量が適切でも、その質に問題がある場合もあります。
強い口調で罵られるように言葉をかけられたり、あるいはパワハラと呼ばれるような言動を受けたり。
指導する側とされる側という立場を利用し一方的に詰められると、辞めたいと思ってしまうのもうなずけます。
仕事についていけない
そもそも仕事についていけないときも、退職が頭をよぎるようです。
求められるスキルや知識が自分の対応できる範囲をあきらかに越えているのであれば、毎日仕事に行くのがおっくうになるでしょう。
やりがいを感じられずつまらない
やりがいを感じられないときも、つまらない、辞めたいと考えてしまいます。
仕事を続けていく上で、「やりがい」はガソリンのような役割を担っています。多少辛いことがあっても続けていこうと思うのはやりがいを感じられる場面があるから。
そのときのために辛いことも乗り越えようと思えるはずです。
しかし、そのやりがいが感じられない場合、何を支えにして日々の業務に取り組めばよいのかわからなくなってしまうでしょう。
新卒保育士が1カ月で辞める場合のリスク
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ここまで、辞めたいと思ってしまう理由を挙げましたが、新卒保育士が1カ月で辞める場合にはリスクもあるということも頭に入れておきましょう。
職場からマイナスな印象を持たれる可能性がある
退職を伝えてもすぐに辞められるわけではありません。
一般的に1カ月の退職はかなり短いものと捉えられるので、退職を伝えた後に退職日まで働く中で、「1カ月で辞めるなんて……」とマイナスな印象を持たれながら働く必要があります。
また、自分の母校に対してもマイナスなイメージを持たれるかもしれません。次年度以降にその園への入職を考えている後輩の就活にも、悪影響を及ぼす可能性があるので、考慮が必要です。
転職のハードルが高くなる
退職後は新しい仕事を探すために転職活動を行ないますよね。そのハードルが上がることも頭に入れておいた方がよいでしょう。
第二新卒という形で、新卒から間もない転職を歓迎している園もありますが、園にとっては育成コストが懸念材料となります。新卒1カ月の段階では、他の中途入社の希望者に比べて経験・スキルが浅いとみなされるので、内定がなかなか出にくいかもしれません。
また、多くの園では育成の観点から長く働いてくれる人を採用したいと考えているものです。「うちの園でも何か嫌なことがあればすぐ辞めてしまうのではないか」という印象を持たれると、面接で熱意を伝えるまでもなく履歴書などの応募書類で落とされてしまうこともあるでしょう。
新卒保育士が1カ月で辞めようか悩んだら
ひとくちに「新卒1カ月で辞める」といっても、さまざまなケースが考えられるでしょう。以下に辞めるべきケース・そうでないケースを紹介します。まずは、自分の今の状況がどれにあたるか考えたうえで、退職を決意しましょう。
辞めた方がよいケース
まずは、辞めた方がよいケースについて見ていきましょう。
仕事内容や労働条件が事前に聞いていた内容と違う
保育士の場合、仕事のメインは保育。「こういう保育士になりたい」「こういう保育をしたい」という意思が叶わないのであれば、辞めた方がよいでしょう。
就活時に聞いていた仕事ができないのであればなおさらです。
また、保育観だけでなく労働環境の面も、事前に聞いていた内容と違うのであれば離職を検討してもよいかもしれません。
上記内容については、入職前にあらかじめ園側から提示され、それに納得して内定を承諾するという契約を取り交わしていることがほとんど。
園側に改善を求めても変化がないのであれば、入社1カ月の段階でも転職に踏み切ってよいかもしれません。
理不尽な対応により精神的に追い詰められている
理不尽な指導を受け、精神的に追い詰められている場合は、一刻も早くその職場から離れた方が賢明です。
精神に影響が及んでいる場合、職場環境を変えずして改善することは難しいでしょう。
ハラスメントをしてきた人が異動になったり、自分が違うクラスの担当になったりしても、ふとした瞬間に思い出し、ストレスを感じ続けてしまう可能性が高いです。
離職を踏みとどまった方がよいケース
次に、離職を踏みとどまった方がよいケースを紹介します。
仕事にやりがいを感じない・つまらない
まだ「仕事にやりがいを感じない・つまらない」と判断するには早いでしょう。
仕事にやりがいを感じない・つまらないという状態の場合、今の園でやりがいを感じるにはどうすればよいか、面白さを見出すには何ができるか、と考えた方がよさそうです。
入社1カ月は基礎を学ぶ場面が多くあります。自分らしい保育がしたいと思って入社しているでしょうから、退屈に感じてしまうのも無理はありません。
しかし、保育士としての土台となる基礎が形成されていなければ、応用はできないものです。まずは基礎的なことを体得し、基礎を応用した保育ができるようになると、やりがいを感じ、仕事を楽しめるようになるかもしれません。
入社後に周りからよくない話(噂・悪口)を聞いて嫌になった
わくわくして入社したのはよいですが、入社後に園のよくない噂や同じ園で働く保育士さんの悪口を周りから聞いてしまい、急に嫌に感じてしまうケースもあるようです。
その場合も、すぐに辞めるという選択肢を選ぶのは避けた方がよいかもしれません。
その噂の出所がどこかにもよりますが、多くの場合は当事者ではなく、関係もない人でしょう。実態は噂や悪口とは全く異なっていたということがよくあります。また、噂や悪口の場合、元の話から尾びれがついて全く違う意図の話になっている可能性もあります。
仕事を辞めるということは、人生において大きな決断です。人から聞いたことではなく、自分が実際に体験して感じたことを信じましょう。
新卒保育士が1カ月で辞めることを決意した後の流れ
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前述した内容を考慮したうえで新卒保育士さんが1カ月で辞めることを決意した場合、以下の流れで退職までをすごすとよいでしょう。
退職理由を整理する
まずは、退職理由を整理しましょう。なぜ自分はこの園を辞めたいと思ったのか、どういった要素が退職を決意する大きな要素となったのか、冷静になって考えるとよいですね。
ここで整理をしておくと、転職先を検討する際にも、自分が大切にしたいポイントが分かったり、逆に避けたい要素が何なのか気づけたりします。
さらに、「勢いで決めたのではなく、しっかりと理由があって退職を決意した」と分かってもらえる伝え方も合わせて考えてみましょう。退職理由を他者に伝える機会は、現在の園を退職する際、転職活動を通してといったようにたくさんあります。
「長時間の勤務が辛かった」という伝え方よりも「より仕事とプライベートのメリハリをつけて働ける環境に身を置きたい」という伝え方の方が、相手の受け取り方もよくなります。
退職を申し出る
退職の意向を伝えたらすぐに辞められるというわけではありません。
民法上、退職を希望する日の2週間前までに退職の意向を伝える必要があると定められています。ですので、少なくとも退職希望日の2週間前までには、上司に退職の意向を申し出ましょう。
業務を最後までやりきる
退職が決まったからと言って業務の手を抜いてよいわけではありません。退職する日まで、園の職員であり、子どもたちの保育者であることは変わりません。責任感を持って最後までやりきるのが社会人として求められる行動です。
退職の挨拶をする
退職日が近づいたら、お世話になった人たちへしっかりと退職の挨拶をしましょう。仕事を教わった先輩保育士、何度もコミュニケーションをとった子どもの保護者など、関わりが多くあった人には、直接、退職の理由や感謝の気持ちを伝えられるとよいですね。
1カ月で辞める決意をした新卒保育士さんへ
「辞めたい」と思うのにはそれぞれの状況や理由があると思います。一般的に新卒1カ月での離職は「早い」と捉えられがちですが、辞めるという選択を正解にできるのは自分だけです。
辞めたいと思った理由をしっかりと整理し、次の道に活かせるようにしたいですね。
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