保育士の求人要項の中で「海外研修有り!」「充実した研修制度!」などの書き込みを見たことはありませんか?
今はほとんどの保育園で、スキルアップのための研修が行われています。
内容は大きく3つに分かれていて、先輩保育士や外部の講師を招いたり、自分たちのみで行う「企業内研修」、自治体や外部の企業が主催する「外部研修」、系列園や海外の保育園に赴いて保育の様子を見せてもらう「視察研修」があります。
研修に参加することで、多くの保育士さんが、仕事へのやりがいや新たな刺激を見出しています。
保育士として成長できる良い機会なので、ぜひ参加しましょう!
ここでは、実際に新卒の方に向けてどんな研修があるのかを紹介していきます。
新卒保育士向けの「企業内研修」
「企業内研修」は、保育者の研修としてはスタンダードなものです。先輩やベテラン保育士さんたちから情報を共有したり、初めて会う保育士さんたちとグループワークをしたり…というのが一般的な内容です。
以下、新卒の方に向けたさまざまな「企業内研修」についてご紹介していきます。
内定決定後の研修
新卒の内定者がスムーズに入職できるように、という目的で行われる研修です。
学生時代とのギャップを感じないよう、基本的な社会人としてのマナーや、保育園・幼稚園の経営理念や保育方針をしっかりと身につけていきます。
中には合宿を行ったり、遊びを取り入れて、これから共に働く同期同士の仲を深められるような工夫をしている保育園・幼稚園もあります。
中途入社の場合でも実施されることもあるようです。
事前にしっかり園とのコミュニケーションが取れていれば、安心して入職できそうですね。
入社後の新人研修
入社後1、2年は、保育に関しても園に関しても、分からないことがたくさん湧き出る時期です。
そうした疑問を解決するのが、入社後に行われる新人研修です
「なかなか言葉の出ない子どもには、どう接するべき?」「運動会の集団指導をどうするか?」など、毎回テーマを決めて、主にグループディスカッションを行っていきます。
日頃の保育の悩みを共有し、解決するのが目的です。情報交換を行いながら、保育士として働く姿勢を身につけていきます。
グループディスカッション以外にも、参考になる映像を皆で視聴したり、文献研究を行う園もあるようです。
自分の保育観を深め、自信にもつながる、非常に意義のある研修です。
保育技術を学ぶための研修
こちらは、新人だけでなく経験のある保育士も参加できる研修です。
ベテランの保育士さんでも、日々の保育士業務の中で、「保育の引き出し」などアイディアの不足を感じることが出てきます。
「だんだん遊びがパターン化して、歌も同じようなものになってしまう。もっと子どもたちを喜ばせてあげたいのに…」そんな時に役立つのが、保育技術を学ぶための研修です。
園内で行われる場合も多いですが、自治体や保育系の企業が主催する「外部研修」でも、より専門的な勉強ができますので、案内を受けた際には積極的に参加しましょう。
保育士の技術研修ではどんなものが人気なのか、5つほどご紹介していきます。
人気の保育士技術研修
1、絵本研修
日々の保育の中で欠かせないのが、絵本の読み聞かせです。研修では、子どもの年齢に合った絵本の選び方や、読み聞かせのポイントを学んでいきます。
同じ絵本でも、あえて感情をおさえて絵に集中させたり、逆に子どもの好奇心をかきたてるよう工夫してみるなど、絵本の読み方にはいろいろなやり方がありますよね。
学んだことを即、現場に生かせる人気の研修です。
2、リトミック・ダンス
リトミックやダンスは、発表会などの行事で子どもたちが披露する機会が多いため、ある程度のスキルを持っていると役に立つ分野です。
独学で学ぶのが難しい分野なので、研修があれば参加したいと考える保育士さんは多いようです。
子どもたちは、音楽に合わせて身体を動かすのが大好きなので、リトミックやダンスを学ぶことで、毎日の保育も充実しそうです。
3、食育
子どもが長い時間を過ごす保育園では、ほぼ必ず自園調理の給食を提供するため、食育の視点は大切になってきます。
園庭で野菜を栽培したり、園児たちとお菓子を作ったり、最近は食育に力を入れる園も増えています。また、保護者の負担軽減といった観点から、幼稚園でも給食を提供する園も珍しくはありません。
また、アレルギーや偏食の予防など、子どもの健康に直接つながることはきちんと把握しておきたいですよね。食事の大切さを知り、食べ物のありがたみを子どもたちに伝えるための研修です。
4、保護者対応とコミュニケーション
新人の頃は特に、保護者との関わり方で悩むことが多いと思います。研修では「保護者からこんな訴えがあった場合はどうするか?」など事例をもとにして話を進めるので、実践的な対応策が学べます。
子どもが育っていくとき、家庭の役割はとても大きなものがあります。
子どもが豊かに育つためにも、保護者とのコミュニケーションを大切にし、保護者支援の視点を持ちたいですね。円滑に業務を行うためにも、ぜひ受けたい研修です。
5、障がいに関する研修
「発達に遅れが見られる、障がいがあると診断された子どもをどう保育していけば良いのか?」こういった悩みは、保育士の誰もがぶつかる壁かと思います。
大切な子どもたちに適切な対処をしてあげたいという思いから、専門知識を学ぼうとする保育士さんは多いようです。
研修に参加する際は、子どもの日頃の様子をしっかりと書き留め、相談ができるようにしておきましょう。
この他、製作遊びの講座や乳児保育の研修、児童福祉が学べる講座など、多彩なカリキュラムがあるようです。
外部研修の中には、関係者でなくても参加できるものがたくさんあります。ネットで検索してみて、気になったものにはぜひ足を運んでみましょう。
最近増えている「海外の視察研修」
視察研修は、系列園や評判の高い国内の園で行われることが多いですが、近年のグローバル化の影響を受け、海外の保育園を視察する「海外研修」も人気が出ています。
日本とは違う、海外ならではの独自の保育を知ることができるのが魅力です。
言葉や生活習慣などの不安はあるかもしれませんが、未知の価値観に触れることで、保育士としての視野はきっと大きく広がることでしょう。
海外研修に行くには
保育園の福利厚生の一環で海外研修が含まれている場合や、資格を取る前の段階、海外研修制度のある大学を利用するのが一般的です。
研修制度の充実している株式会社運営の保育園では、 海外研修を1〜3年目に行うことが多いようです。期間は様々ですが、1週間〜3週間程度が一般的。
提携している保育学校や、保育施設で研修を行います。
海外研修の内容は?
海外研修では、施設を案内してもらったり、 教育の方針・概要をお話いただいたり、日本にいるだけでは経験できない体験を通し、保育とは何かということを多面的に捉えていきます。
また、研修の内容によっては子どものいるお宅へホームステイし、生活を共にすることで子どもへの教育方法を学ぶこともあるようです。
その他にも海外研修では、園舎のつくりや環境、保育者の立場の違い、文化の違いなどさまざまな面から保育を見つめなおすことができますよ。
実際に体験した方の声
海外研修と聞くと、ハードルが高く感じる方も多いのではないでしょうか? そこで、実際に海外で保育を経験した方の声を集めてみました。
・幼児教育の進んだ国へ行くことによって、最新の保育を経験できたことが、その後の自分の経験として役に立った!
・子どもたちがすごく元気!言葉も通じないんだけど、壁を感じず自由に保育できた。海外の子どもたちもすごくかわいい!
・日本だと危ない、とされる遊びも気にせずやっていること、食事を床で食べたり、お行儀が悪いとされることを普通にやっているのに驚き。文化の違いを感じた。
・研修最終日には、悲しくて涙ぐんでしまった。短い間だったけど、人気者の先生になれて嬉しかった。
このように、海外での経験は、日本にいるだけではなかなか気づけないことを気づかせてくれる、 貴重な機会のようです。
海外研修の機会があれば積極的に挑戦すると良いでしょう。
研修に参加するときの服装
園内で行われる「企業内研修」のときは、事前に指示があればそれに従い、とくに無ければ普段の格好でも充分でしょう。
ただ、園の外で行われる「外部研修」や「視察研修」に参加するときはTPOに合った服装を心がけましょう。
保育士として恥ずかしい格好をしていると、場合によっては園に迷惑をかけてしまうかもしれません。研修に参加するときはまず、座って講義を受ける内容なのか、身体を動かす内容なのかを確認しましょう。
座学の研修は落ち着いた服装で
主催者側からの指定が特に無ければ普通の服装で大丈夫ですが、奇抜な色やデザインのものは控え、落ち着いたものを選びましょう。
悩む場合は、ジャケットやシャツ、無地のパンツやスカートなど、無難な組み合わせを選ぶと良いですよ。
ホテルや大ホールなど、かしこまった場所で行われる大規模な研修は、先輩の意見を参考にして、なるべくスーツを着用していきましょう。
身体を動かす研修はジャージやジーンズで
ダンスや遊びなど、身体を動かす内容のときは動きやすい服装が基本です。ジーンズやチノパン、ジャージを着て行っても良いでしょう。
派手な色、柄の入ったものは避け、シンプルなものを選ぶとgood!夏場であればTシャツでも良いと思いますが、目立つ柄は止めておきましょう。
清潔感のある服装を心がけて
どんな研修の場合でも、清潔感のある格好を心がけましょう。爪が伸びていたり、髪が乱れてはいませんか?就職面接と同じような服装、と考えておくと分かりやすいかもしれませんね。
長い髪は一つに束ね、メイクやネイルもナチュラルに。華美なものは控えましょう。園の代表で来ているのだという気持ちを持って、背筋を伸ばし笑顔で研修を受けて下さい。
まとめ・研修で得られるもの
毎日忙しい保育士さんにとって、業務時間外に行われる研修に参加するのは、正直なところ「ちょっと面倒」かもしれません。しかし、その面倒を上回るメリットが、研修にはたくさんあります。
保育の仕事を一生懸命している人で、悩まない人はいません。「あれで良かったのかな?」「もっとこうしていれば…」とひとりで落ち込みそうになったら、ぜひ研修に参加しましょう。
悩みは即座に解決しないかもしれませんが、そこには必ず出会いがあります。今までにない保育観に触れたり、新しい保育スキルを身につけることで、モチベーションを上げられるのが研修の良いところです。
少なくとも、気分転換にはなるはずですよ!たくさんの研修に参加して、ぜひ保育士レベルをアップさせていきましょう。