保育士のキャリアパスを考えよう!『自己分析シート』を活用する方法

これから保育士になろうと頑張っている学生の皆さんは将来どのような保育士になりたいですか?そしてそこからどのような経歴を歩んでいきたいですか?
初心に帰ろう!『自己分析シート』で、キャリアパスを考える
保育士に限らず仕事をすることにおいて将来の目標があればそれがやる気につながります。
そこで今回は保育士としてのキャリアパスと、自己分析シートの活用についてご紹介したいと思います。

キャリアパスとは

キャリアパスとは平たく言うと出世の順序です。
例えば、一般的な企業で社長になることが目標だとすると、そのためにはその前に常務にならないといけない、常務になるには取締役にならないといけない、その前に部長、課長、係長といった具合に平社員がいきなり社長になるのは無理なので、順を追ってだんだんと偉くなっていって最終的に社長になる、という流れがあります。
キャリアパスはその流れのことです。

保育士のキャリアパス

保育士を目指す皆さんは「じゃあ保育園におけるキャリアパスはどうなっているのか」ということが気になると思います。
どのような役職を作るかは園が任意に決めることができますが、キャリアパスを策定することは国により推奨されていて、どういう役職がどういう権限を持つかなどのキャリアパスが明確な園が増えてきています。
一つの例では新任保育士は初級職員というポジションに配置され、キャリアを追って中級職員、上級職員となり、リーダーを任され、主任になる。
その後副園長を経て園長を経験し理事長になるというキャリアパスモデルがあります。
そしてこれらにはそれぞれの権限と役割が振り分けられます。
たとえば、先の例の中での上級職員は、一通りの園における作業を行うことができます。
リーダーは行事の日程を決定する権限を持ち、初級から上級職員の教育と評価を行います。
副園長は園長を補佐し、地域のイベントや園外での交渉を行い、理事長は園の運営に係る全ての決定権を持つ…というような役割に関する決まりごとが作られているのです。

キャリアパスってどうして必要?

なぜこのようなキャリアパスが作られるのでしょうか。
一番大きな理由は冒頭に述べたようにそこで働く保育士のやる気と成長を促すことです。
皆さんはこうなりたいという保育士像があると思います。
自分が目指す保育士像を持ちそれを目標にするというものはもちろん大切です。
そして、保育士を続ける中で自分の描いた保育士像に近づいているということを感じられることは今後の保育士人生の中で幸せを感じられることだと思います。
一方では、自分が偉くなる、給与が増えるということで自分の役割が大きくなっていることを目に見えてわかりやすく感じられることも大切です。
キャリアパスを通っていくことで自分が成長できると信じられる園で自分が成長していく過程を感じられることも保育士としての一つの喜びになるかもしれませんね。

キャリアパスの目安

保育士のキャリアパスの一例として、新任保育士は初級職員というポジションに配置され、キャリアを追って中級職員、上級職員となり、リーダーを任され、主任へ。
その後副園長を経て園長を経験し理事長になるというキャリアパスモデルをご紹介しましたが、昇格の基準はどのようになっているのでしょか?年数の目安や必要な経験基準についてご紹介します。

初任者

未経験の新任の保育士は、まずは副担任やフリーなど、比較的負担の少ないポジションから務めることが一般的です。
先輩保育士の指導のもと、まずは基本的な保育業務や園でのルール・マナーを学びましょう。
こうした見習いのような期間は、おおむね1年程度です。
子どもの接し方や保護者との付き合い方など、保育士として働く上で必要な知識を身に着けましょう。
複数担任制度を設けていたり、小規模で保育士人員が少ない保育園では、初任者でもクラス担任を任される場合もあります。

クラス担任

新任保育士として基礎知識が身についた後、クラス担任となります。
園によっても異なりますが、いきなり新卒で担任、というよりも1年後程度にクラス担任を任せるケースが一般的でしょう。
仕事内容としては、初任者の指導、会計業務の補佐、保育指導計画の考案や評価などがあげられます。
複数担任制度を設けている園もあれば、一人でクラス担任を受け持つ園もあるため、仕事の負担や内容は園によって変わりますが、子どもたちとの関わりが多く、やりがいの感じられる役職です。

リーダー

クラス担任としてキャリアを積んだ後、リーダー職を任せられることがあるでしょう。
園によっても役職の分け方は様々ですが、例えば乳児クラスの年齢主任・リーダーなど、年齢別のチームリーダーや、行事などプロジェクトごとのリーダーなどがあります。
リーダー職には、クラス担任、職員同士の信頼関係、主任や園長の業務補佐、初任者への指導経験が必要でしょう。
現場から園全体の管理まで幅広く活躍する役職です。
リーダーは、おおむね3年以上の経験を積んだ人が任命されるケースが多いでしょう。

主任・副主任

リーダーでの仕事を経験した後は、主任・副主任を目指すことが一般的となるでしょう。
主任の場合8年以上、副主任の場合は5~7年以上程度の経験が目安です。
保育士の主任というポジションは、保育園での管理職に当たるポジションです。
子どもが保育園でより楽しく生活できるよう、さまざまな観点から園を支える責任のある役職です。
小規模な保育園以外では、主任となるとクラスを受け持つことなく、フリーとして園全体を見ながら後輩の指導や、園長との橋渡しなどに努めます。
仕事への責任感や研の企画・実施、地域との交流、後輩保育士の育成が必要経験として求められます。

園長・施設長

保育キャリアの一つの着地点である園長。
こちらも明確な経験年数の基準はありませんが、最低10年程度の経験値は求められるといっていいでしょう。
例えば大手保育園での園長の求人募集では、10年以上の保育現場経験を応募条件としていることがあります。
保育園全体の代表となるため、施設内の調整や保育士の指導、運営経営管理責任、資金計画などさまざまな経験が求められます。
保護者への対応や、新人採用面接、給食管理などすべてのことに責任を持ち、チェックするお仕事です。
もちろん簡単なことではありませんが、その分大いにやりがいを感じられ、充実している役職とも言えます。
以上のキャリアアップのための経験年数はあくまでも目安です。
しっかりと今与えられている役職の仕事に責任を持ち、的確に業務を行いながらキャリアアップを目指していきましょう。

キャリアアップ研修

2017年、厚生労働省より職員のスキル向上のための研修機会の確保を目的とした「保育士のキャリアアップ研修ガイドライン」が定められました。
研修内容は以下の3つに分かれています。

専門分野別研修

・乳児保育
・幼児教育
・障害児保育
・食育・アレル ギー対応
・保健衛生・安全対策
・保護者支援・子育て支援
以上の専門分野において、リーダー的役割を担う保育士を対象に研修を行います。

【乳児保育】

主に0~3歳未満の保育内容。
乳児に関しての理解を深め、個々の子どもの発達に応じて他の保育士に的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「乳児保育の役割と機能」「乳児保育における配慮事項」などがあげられています。

【乳児教育】

主に3歳児以上の保育内容。
幼児に関しての理解を深め、個々の子どもの発達に応じて他の保育士に的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「幼児教育の現状と課題」「幼児期にふさわしい生活」などがあげられています。

【障害児保育】

障害児に関しての理解を深め、個々の子どもの発達に応じて他の保育士に的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「障害のある子どもの理解」「障害のある子どもと他の子どもとの関わり」などがあげられています。

【食事・アレルギー対応】

食育に関しての理解を深め、適切に食事計画の作成、アレルギー対応、他の保育士へ的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「栄養の基本的概念と栄養素の種類と機能」「食事の提供における質の向上」などがあげられています。

【保健衛生・安全対策】

保健衛生、安全対策に関しての理解を深め、他の保育士に的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「子どもの発育・発達の理解と保健計画の作成」「保健活動の記録と評価」などがあげられています。

【保護者支援・子育て支援】

保護者や子育て支援に関しての理解を深め、他の保育士に的確な指導ができることを目的としています。
具体的な研修内容として「保護者支援・子育て支援の役割と機能」「保育所の特性を活かした支援」などがあげられています。

マネジメント研修

専門分野におけるリーダー的な役割を担う経験があり、主任保育士のもとでミドルリーダー(副主任や現場のリーダー職)を担う保育士を対象に研修を行います。

保育実践研修

保育現場における実習経験の少ない方や、長期間保育現場で保育を行っていない方を対象に研修を行います。
それぞれの研修時間は1分野15時間以上と定められています。
「保育士等キャリアアップ研修の実施について」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/tuuti.pdf

キャリアアップに有利な資格

キャリアアップを目指すうえで、持っていると有利に働ける資格についてご紹介します。

社会福祉士

社会福祉士は国家資格であり、人に寄り添い専門知識に基づいてカウンセリングや援助を行いサポートをすることを指します。

児童福祉士

児童福祉士とは、子どもに関する悩みや不安を相談できる人を指します。
保護者や子どもが安心して健やかな生活を送れるようにサポートします。

チャイルドマインダー

チャイルドマインダーは民間資格です。
家庭的な少数保育を主に、自宅で開業したり訪問する保育を行っています。
以上の他にも、「絵本専門士」や「リトミック指導者」など、保育内容に基づいた資格を取得し、キャリアアップへ繋げる方もいます。

自己分析シートを活用しよう

私たちの人生は一本につながった糸のようなものです。
そしてその糸は過去から現在、現在から未来へとひと続きになっています。
キャリアパスが将来の設計図だとすると、その設計図は過去と現在と紐付いたもののはずです。
自らの過去と現在を分析するために有用なのが就職活動の際に作成した「自己分析シート」です。

自己分析シートの活用

「自己分析シート」を活用し、自分の最終目標や経緯などを整理してみましょう。

自己分析シートの作成

自分の長所・特性・価値観を見出す自己分析シートを作成するにあたって、まずやるべきなのが「自分史」の作成です。
保育士を目指す自分がこれまで歩んできた歴史には、随所に自分の長所、特性、価値観を反映した出来事、イベントが発生しているはずです。
それら出来事、イベント、エピソードから演繹的に自己分析を行い、自己PRできるだけの、長所・特性・価値観の確認作業を行って下さい。
なお、長所・特性・価値観に良い・悪いはありません。
ただ、面接官は様々な角度から長所・特性・価値観を問うてきますので、どのような角度から質問されても答えられるようにするためには、自分の歴史を紐解き、綿密に自己分析を行っておくことが重要になってきます。

自己分析の結果は端的にまとめよう

自分の歴史を振り返ったらその結果を端的にまとめましょう。
【過去】折り紙が苦手だった子に歌で折り方を教えた経験がある
【現在】他人の表情の微妙な変化に気づける
【現在】妥協ができないため、時間管理がおろそかになることがある
【未来】子どもの心の変化に気づき、サポートできる保育士を目指す
過去から現在は変えることはできませんが、現在から未来は自らの行動によって変えることができます。
自分が目標とする保育士像になるためには、どのような道を辿れば良いのか…その一歩一歩、一段一段のステップを具体的に可視化したものがキャリアパスです。
自己分析シートで明らかになった過去から現在の自分を参考に、将来へのキャリアパスを描いてい下さい。

キャリアパスの先にある自らの目標を再確認しよう

キャリアパスの先には、自分の描いた保育士像があるはずです。
もちろんなりたい自分は、時間の経過とともに変化します。
しかし、保育士として日常の業務に追われていると、ついつい目標を見失いがちです。
そんな時は初心に帰り、保育士になることを選んだ理由について考えてみると良いのではないでしょうか。

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