保育士の給料の基礎知識。平均給料や手取り、キャリアップによる給料引き上げなど

保育士として保育園、幼稚園、認定こども園などで働く上で、気になる給料についての知識を深めておきましょう。保育士の平均給料、賞与、手取り額の意味と給与明細の見方、キャリアアップ研修による処遇改善や家賃補助などの給料の引き上げについてなど、保育士の給与事情は、政策によっても毎年変わっていくと言っていいでしょう。働く上で知っておきたい給与制度について、基本的な情報をまとめました。

保育士の給料の基礎知識平均給料や手取り、キャリアップによる給料引き上げ
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保育士や幼稚園教諭の給料の平均額と手取り額

保育士と幼稚園教諭の給料の平均金額

平成28年度(2016年)の調査で、保育士と幼稚園教諭の平均給料は次のようになっています。

<保育士・幼稚園教諭の平均給与>

保育士 幼稚園教諭
月額給与平均 229,900円 231,600円
年間賞与その他の平均 662,500円 637,700円
年収(月額+賞与) 3421,000円 3417,000円
平均年齢 35.8歳 33.3歳

出典:「平成29年度保育士及び幼稚園教諭の平均賃金等の実態について」/内閣府

月額給与、年間賞与、年収とは

月額給与とは

月額給与額とは、時間外賃金手当の計算の基礎となる1カ月あたりの給与のことです。
基本給だけでなく役職手当などの諸手当も含まれます。
ただし、通勤手当や住宅手当などは含まれない形になっています。

賞与とは

固定給が毎月支払われている雇用者に対し、定期給与と別に支給する給与のことをいいます。賞与のほかに、ボーナスや特別手当といった呼称でも呼ばれます。

年収とは

月額給与と賞与などを合わせた、1年間での給料の支給額のことです。一般的に「年収」とは、社会保険料や源泉所得税、その他の控除(住民税や積立金など)が引かれる前の「総支給額」を指します。

保育士、幼稚園教諭の給料の手取り額

手取り=手元に残る実際の金額

給与の手取り金額とは、基本給や各種手当となるプラス分から、各種保険料や税金などのマイナス分を引いたものです。その金額が手取り、すなわち実際に受け取れる金額になります。

手取り額の出し方、算出方法

プラス分をすべて合計した総支給額から引かれるものは、住民税、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、給食費、駐車場代などです。住民税や保険料に関しては、昨年度の所得額を参考に金額が決められるため、人によって多少は異なります。だいたいの額は、総支給額の80%ぐらいだと思っておいてよいでしょう。
賞与からも源泉所得税、健康保険料、介護保険料、厚生年金額、雇用保険額を差し引いての手取り額となります。

保育士、幼稚園教諭の給料の手取り例

保育士 幼稚園教諭
月額給与の手取り 184,000円 185,300円
年間賞与その他の手取り 544,600円 522,400円
年収(月額+賞与)の手取り 2752,600円 2746,000円

※あくまで平均額からのおおよその手取り参考例です。実際は在住地域、前年所得や扶養家族の有無によって計算が変わってきます。

保育士の給料が「安い」といわれる理由

保育士の給料が安い理由
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保育士や幼稚園教諭の給料は、実際世の中の給与水準と比べてどのような位置づけなのでしょうか。
平成29年度の賃金労働調査では、大学卒の30~34歳の平均年収は額面で男性321.3万円、女性274.1万円で、保育士と幼稚園教諭ともに、同年齢の平均年収程度の年収はありそうです。
しかし保育士、幼稚園教諭ともに、子どもの生命を預かる責任感や、仕事の内容も子どもの保育と教育に携わる仕事で、通常の仕事より責任を感じる内容が多く、時期によっては残業もあるため、安いと感じることもあるようです。

出典:「平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況」/厚生労働省

保育士の給料は保護者からの保育料と国や自治体の補助金によってまかなわれる

保育園や公立幼稚園の運営費は、保護者から徴収する保育料からまかなわれています。認可保育施設では、保護者の保育料の一部と運営費を国や自治体の補助金によってまかなっていますが、保育料も補助金も一定の水準が定められているため、保育園独自の判断で財源を増やすことは難しく、給料のベースを上げる判断は保育園の施設長だけでは難しいといえます。

出典:平成31年度公定価格の対応について/内閣府

出典:

出典:公定価格の仕組みについて/内閣府

保育士の給料の引き上げと処遇改善

政府は、待機児童問題などへの対策の一つである、保育士不足解消のために、「待機児童解消加速化プラン」の一環として、保育士の給与引き上げについてさまざまな施策を進めており、今後も行う予定です。

出典:「待機児童解消に向けた取組」/内閣府

保育士の給与を2019年度は約1%改善

2019年度予算案によって、保育士の給料を約1%改善(月額約3000円程度)します。2013年度以降のこれまでの取組と合わせると、約13%(月額41000円程度)改善になります。

処遇改善とキャリアアップ研修

保育士の給与引き上げ策として、平成29年度(2017年)から「技能・経験に応じた処遇改善」を導入しています。保育士の処遇改善として始まった「キャリアアップ研修」では、指定の研修を経て新しい役職に就くことで待遇を改善するという制度です。具体的には、保育経験が3年以上ある保育士を対象として、条件を満たせば職務分野別リーダーとなることができ、経験年数によって処遇改善手当が加算されます。

出典:「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善について」/内閣府

各自治体による各種手当

国が進める保育士の処遇改善手当のほかに、待機児童問題が深刻な都市部では、自治体が独自のキャリアアップ制度や、住宅手当などの補助を行っている地域もあります。
例えば「借り上げ宿舎制度」では、保育従事職員用の宿舎の借り上げを行う事業者に対して、区市町村が資金の交付を行う場合に、その一部を補助することにより、保育人材の確保・定着・離職を防ぐための制度です。
この制度は自治体によって変わってきますが、そのほかに就職準備金制度や、遠方からの就職のための引っ越し補助制度など、保育士として働くための環境を整えるための補助金が出る制度が用意されています。

幼稚園教諭の給料の処遇改善

幼稚園教諭の給料も、保育士同様に処遇改善の加算対象となっています。また、保育士や幼稚園教諭だけでなく、看護師や調理員、栄養士、事務職員等も対象になっています。
そのほかに、文部科学省は幼稚園の人材確保支援事業として、離職者の登録制度や合同説明会を主催する、メンタルヘルス研修や専門家への相談対応など、処遇改善に向けさまざまな取り組みを行っています。

出典:処遇改善等加算Ⅱ 加算対象職員数計算表(幼稚園)/内閣府

出典:幼稚園の人材確保支援事業/文部科学省

保育園の給料の平均は今後も改善されていく

幼児教育・保育無償化が施行になり、「今後保育士や幼稚園教諭の給料はどうなるのだろう」と考える方もいるでしょう。国や自治体が少子化対策や待機児童問題に対して改善策を打ち出している今、それにかかわる重要な保育士、幼稚園教諭の給料の改善もや対策が並行して行われています。今後も国や自治体の制度の報告を注目していきましょう。

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