保育実習で初めて会う子どもたちへの自己紹介では、パタパタなどの視覚的なグッズを取り入れてみるのも一つのアイデアかもしれません。パッと見て印象に残れば、子どもたちも楽しみながら名前を覚えてくれるでしょう。今回は、自己紹介のねらいや工夫の仕方、牛乳パックやダンボールを使ったパタパタの作り方などについて紹介します。
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■目次
保育実習で自己紹介をするねらい
保育士として、そして先生として、保育実習で初めて会う子どもたちへ向けて最初にするのが自己紹介です。子どもたちに先生として受け入れられるには、早く名前と顔を覚えてもらい、なかよくなることが大切になります。最初の自己紹介には子どもたちに興味を持ってもらい、打ち解けやすくするというねらいがあります。
そこで話し方を工夫したり、手作りグッズなどを活用した演じ方などをすると、子どもたちの心を掴むきっかけになるかもしれません。
では、どのような工夫をすれば子どもたちとの距離が縮まるのでしょうか。
保育実習で自己紹介をするときに役立つ工夫について、いくつか具体的なアイデアを紹介します。
あいうえお作文を作る
自己紹介でよく選ばれるのが、自分の名前で一文字ずつ文を作る「あいうえお作文」です。子どもたちにとってテンポがよくてわかりやすく、喜んでもらえるようです。また身近な動物や道具の例えを出すことで、「自分と同じ文字がある」など興味を引きやすく、子どもたちが親しみを持つきっかけにもなるかもしれません。
<例文>
「ぱんだぐみのみんな、はじめまして。
わたしのなまえは、『ほいくはなこ』といいます。
はなこの『は』ははみがきの『は』、
はなこの『な』ながぐつの『な』、
はなこの『こ』はコアラの『こ』
です。
ぱんだぐみのみんなと早く仲良くなりたいので、たくさん遊びましょう」
手遊びを交える
自己紹介で手遊びを交えると子どももいっしょに参加でき、親しみを持ちやすいかもしれません。このとき、手遊びはどの年齢・月齢でもできる簡単な手遊びや自分の好きなもの、名前にある文字にまつわる動物が出てくる手遊びなどいくるかレパートリーを用意しておくとよいでしょう。
視覚的なグッズを作る
パタパタやペープサート、エプロンシアターなど視覚的なグッズを取り入れてみるのも、子どもたちの注目を集めやすいでしょう。中でも、文字とイラストを組み合わせての紹介がしやすく、面白い動きをするパタパタを取り入れると子どもたちも興味を持ちやすいかもしれません。
今回は、保育実習の自己紹介で活用できるパタパタに着目して紹介します。
自己紹介のパタパタに活用できる材料
自己紹介のためのパタパタを作るときに活用できる材料について、特徴を交えて説明します。
ダンボール
ダンボールはスーパーなどでも手に入る身近な材料の一つです。小さなものから大きなものまで、作りたいもののサイズにあわせて使うことができます。その厚みや重みを活かせば、しっかりとしたパタパタを作ることができるでしょう。
牛乳パック
牛乳パックはハサミだけでカットができて加工がしやすく、普通の紙より厚くてしなやかなのが特徴です。また破れるといった心配も少ないので、長期的に使えるパタパタが作れるかもしれません。
画用紙
画用紙は簡単に切れ、そして折ったり貼ったりと加工がしやすいのも特徴です。色とりどりなので、子どもにとって視覚的にも楽しいパタパタが作れるでしょう。
保育実習の自己紹介で使えるパタパタの作り方
ここでは、自己紹介で役立つグッズの一つである、パタパタの作り方を紹介します。
ダンボールを使ったパタパタ
まずはダンボールで作れるパタパタの作り方を説明していきます。この作り方にすると、上からカードが次々と落ちていく仕掛けのパタパタを作ることができますよ。
用意するもの
- 好みのサイズでカットしたダンボール 10枚
- 布製または紙製のリボン(幅1cm~1.5cmくらい)
- 接着剤
- 油性ペン
- 割りばし
ダンボールは大人数の前で演じることも考え、子どもから見やすいよう大きめにカットしておくとよいかもしれません。今回は5段のパタパタの作り方を紹介しますが、変更したい場合は自分の作りたい段数の2倍の枚数を準備しましょう。リボンの本数は(作りたい段数-1)×3、長さは台紙の幅+厚み+糊代分×2を基準として準備するとよさそうです。
作り方
(1).まず4枚のカードにそれぞれ3本のリボンをつけます。リボンは、カードの上側の真ん中に1本、下側の左右の端に1本ずつ、のりしろ1cmほどのところを接着剤で貼りつけます。
(2).リボンをつけた1枚のカードの上に、リボンのないカードを1枚貼りつけます。リボンの端はダンボールに挟まれて、見えなくなります。これを4組作ります。
(3).1枚目の上側のリボンを裏側に折り返してから、カードの下に2枚目のカードを1枚目と上下・裏表逆にして置きます。
(4).1枚目の上側のリボンののりしろを2枚目の表面に貼り、下側の2本のリボンは2枚目の裏側を通してから表面に折り返して貼ります。
(5).2枚目のカードの上側の2本のリボンは手前に、下側の1本のリボンは上へと折り返します。
(6).3、4枚目のカードは、(3)から(5)と同じ工程で貼ります。
(7).最後はリボンをつけていないカードを貼りあわせ、持ち手となる割りばしを横向きにつけてできあがりです。
割りばしを持ち、一番上のカードを左右に傾けると、カードが次々と落ちていきます。
うまく落ちなかったときは、リボンの貼り方や、長さのずれを修正しましょう。カードとカードの間のリボンは、引っ張りすぎず少しゆるめに貼るとパタパタがうまく動くようです。
自己紹介での使用例
表側には「ほ」「い」「く」と苗字を、裏側には「は」「な」「こ」と名前を一文字ずつ書き、パタパタと文字が現れるようにします。また、表側には名前を一文字ずつ入れ、裏側には名前のあいうえお作文にまつわるイラストなどを入れてみても面白いかもしれませんね。
牛乳パックを使ったパタパタの作り方
次に、牛乳パックを使ったパタパタの作り方を紹介します。一瞬にして絵が変わる仕掛けのパタパタなので、参考にしてみてくださいね。
用意するもの
- 開いた牛乳パック 2枚
- ハサミ
- 色ペン
牛乳パックはよく洗って乾かしたものを使いましょう。撥水加工がされているので、使用するマーカーは油性タイプの方がよさそうです。
作り方
(1).開いた牛乳パック2枚の、底と注ぎ口の部分をすべて切り、4面の平面部分を残します。
(2).(1)の牛乳パックの1枚を半分に折り、2面にします。
(3).その2面のうち折り目となっている方の半分を、3等分するように2本切り込みを入れます。開くと4面のうち中央の2面に切り込みが入っている状態になります。
(4).もう1枚の牛乳パックを半分(2面ずつ)に切り、それぞれを半分に折ります。
(5).(4)で半分に切った牛乳パックの折り目を中央にあわせ、(3)で切り込みを入れた牛乳パックに、互い違いになるように差し込んでできあがりです。
これを左右から折り畳むとできる2つの折り目の間に指を入れて開くと、1ページ目の面となります。そして1ページ目の左右を開くと完成したときと同じ形の2ページ目の面になるので、それぞれにイラストなどを入れます。
使用例
自分の似顔絵で「いないいないばあ」をするイラストでの自己紹介の例です。1ページ目には「いないいない」のイラストを描き、「わたしの名前は……」とセリフを言います。2ページ目には「ばあ!」のイラストを描き、「ほいくはなこです」と名前を伝えましょう。このとき、好きな動物や食べ物も描き、「好きなものは……」とつけ加えるのもよいかもしれません。
また、おたまじゃくしがカエルに変わったり、青虫がちょうちょに変わったりするイラストを描いて、自己紹介を交えながらの短いストーリーを考えて演じるのも面白そうですね。
保育実習の自己紹介でパタパタを使うときに注意すること
最後に、保育実習の自己紹介でパタパタを使うときに注意することについて説明します。
事前に練習しておく
自己紹介でパタパタを使うときは、本番で手元ばかりに気をとられないよう事前に練習しておくとよいでしょう。また鏡を使って子どもたちからの見え方を確認したり、子どもたちの方を見ながら演じる練習をしたりしておくと本番でもスムーズに使えるかもしれませんね。
子どもの年齢にあわせてアレンジする
自己紹介の中で使う言葉は、実際に実習に入るクラスの子どもの月齢・年齢にあわせるのが大切です。高い年齢の子どもたちにはクイズ形式を取り入れる、乳児クラスでは簡単でわかりやすい言葉を選ぶなど工夫をするとよいでしょう。どちらにも対応できるよう、パタパタは文字とイラストを組みあわせて作ったり、アレンジのレパートリーをいくつか考えたりしておくとよいかもしれません。
保育実習の自己紹介でパタパタなどを使って、注目を集めよう
今回は、保育実習の自己紹介で使えるパタパタの作り方や使うときのポイント、注意点について紹介しました。
保育実習で初めて会う子どもたちとの距離を縮めるために大切な自己紹介。それを成功させる最大のポイントは、子どもの立場で考えることかもしれません。子どもにとってわかりやすい工夫をしたパタパタなどのグッズを用意して、自然に子どもたちの注目が集められるような自己紹介ができるとよいですね。