新年度となる4月、3歳児クラスの月案に悩む新卒保育士さんもいるでしょう。幼児クラスとしての自覚や意欲を育むために、どんなねらいや配慮を計画するとよいでしょうか。今回は、3歳児クラスの月案で使える4月の文例を紹介します。養護・教育のねらいに加え、健康、言葉、人間関係など5領域別の活動内容や配慮、月反省の書き方もまとめました。
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■目次
4月の3歳児クラスの特徴とは?
保育園の子どもたちが進級する4月、3歳児の子どもたちは晴れて幼児クラスに進みます。
「幼児クラス」として扱われることに誇りや意欲を感じる一方、不安や緊張を抱える子どももいるかもしれません。
4月の3歳児クラスでは以下のような特徴が見られそうです。
- 進級したことによろこびを感じている
- 新しいクラスや一日の流れに慣れるまで、不安をもったり保育者を頼ったりする
- 初めて保護者と離れて過ごす新入園児は、不安そうにしたり泣いてしまったりする
2歳児クラスからの進級児と、新しく入園した新入園児とがいる場合、それぞれに合わせた対応が必要になるでしょう。
また、進級児でも身の回りのことを自分でやる必要がある幼児クラスでの扱いに慣れない子どももいるかもしれません。
このような特徴をおさえて、子どもが安心感をもてるようかかわっていけるとよいですね。
【4月】3歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
4月の月案の「子どもの様子」欄の書き方は、園によってさまざまかもしれません。
以下の文例を参考に、3月末や4月初めに見られる3歳児の姿を記入してみましょう。
- 進級することに期待をもち、よろこぶとともに不安も感じている
- 新しい環境に緊張し、保育者の側を離れなかったり、送迎時に泣いたりする
- 排泄のタイミングを掴み、保育者の支えなしでトイレができる子どもも増える
進級するにあたってうれしさを感じる一方、求められることが増えて不安定になることもあるでしょう。
また、身の回りの自立についても子ども一人ひとりの状況を見て記入しておくとよいかもしれません。
前担任から3月末の姿を聞いて書いたり、4月初頭の様子を見て書いたりと、保育園の様式に合わせて記入してみてくださいね。
【4月】3歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
4月の3歳児にぴったりなねらいを考えて月案に記入しましょう。
今月のねらい
月案のねらいを、生活面にかかわる「養護」と遊び面にかかわる「教育」にわけて紹介します。
養護のねらい
- 保育者に援助してもらいながら身の回りのことをやろうとし、生活の流れを身につける
- 新しい環境で不安になる気持ちを受け止めてもらい、安心して過ごす
教育のねらい
- 自分のロッカーやマーク、道具や玩具の片付け場所などを知る
- 4月の陽気のなかでのびのびと遊ぶことを楽しむ
4月には、新しい環境や生活の流れに慣れて安心感をもてることをねらいに設定するとよさそうです。
そのなかで少しずつ、保育士さんや周りの友だちとの関係を広げていけるとよいですね。
活動内容
ねらいをもとに、子どもに経験してほしい具体的な活動内容を書いていきましょう。
健康
- 心地よい気候のなかで十分に身体を動かして遊ぶ
- 保育者とともに身の回りのことを行い、やり方を覚える
人間関係
- 新しい保育者や友だちの名前を覚え、かかわり合うことを楽しむ
- 友だちと同じ遊びをすることをよろこぶ
環境
- 新しい玩具に興味をもち、好きな遊びを見つける
- 戸外遊びを通じて、植物や生き物など春の自然にふれることを楽しむ
言葉
- 友だちや保育者と挨拶を交わすことをよろこぶ
- 絵本や手遊びを通して、挨拶など生活に必要な言葉を身につける
表現
- のびのびと春の歌を歌い、表現することのうれしさや心地よさを味わう
- 4月の製作を通して、春らしい表現を楽しむ
以上のような活動内容を踏まえて、週案や日案を考えられるとよいですね。
友だちに親しめたり、進級のうれしさを感じたりできるような活動を考えて月案に記入しましょう。
【4月】3歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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ここでは、4月のねらいや活動内容に合わせて保育士さんの配慮や援助の文例を紹介します。
健康
- 子どもの体調に配慮しながら活動内容を調整する
- それぞれのペースや体力に合わせて眠れるよう午睡時間を確保し、眠りやすい環境を整える
人間関係
- 新入園児が保育園に親しめるよう、繰り返し名前を呼んで遊びのなかでかかわる
- 友だちとかかわって遊べるよう保育者が仲立ちとなって誘っていく
環境
- 子どもが好きな遊びを選んで遊べるよう、玩具を出しやすい位置に置いたり、コーナーをわけたりする
- 自分の持ち物の場所や支度の仕方がわかるよう、マークを付けたり見本の写真を貼ったりしておく
言葉
- 「いれて」「かして」など遊びに必要な言葉がわかるよう、活動のなかで補っていく
- 子どもの「話したい」という意欲が満たせるよう、相づちをしながら十分に話を聞く
表現
- 子どもたちが親しみやすい歌や手遊びを伝える
- 春の絵本や紙芝居を読み聞かせ、製作への意欲を育てていく
子どもが生活のなかで必要なものを理解できるような環境構成をするとともに、保育士さんは子ども同士の関係を結べるような仲立ちをしていきましょう。
【4月】3歳児の月案の文例:家庭連絡・行事・食育
4月の3歳児クラスの月案にある、家庭連絡、行事、食育欄にはどのような配慮を書くとよいのでしょうか。
家庭連絡
- 支度のしかたや準備物を、おたより・声かけなどを通して丁寧に説明する
- 子どもの体調や情緒面での変化を共有していく
家庭連絡では、幼児クラスでの支度のしかたや、子どもの様子の変化などを詳しく教えられるとよいですね。
行事予定
- 入園式
- 避難訓練
- 進級お祝い会
- お花見散歩
食育
- 個別に盛り付け量を調整しながら、完食できるよろこびを味わえるようにする
- 食事のマナーや挨拶をしっかりと伝えていく
4月には個々の食事量や好みを把握するとともに、「口にものを入れて話さない」「前を向いて食べる」など食事のルールを最初からしっかり伝えることが大切ですね。
【4月】3歳児の月案の文例:反省・自己評価
4月の3歳児の月案では、どのような点を反省・自己評価に役立てるとよいか、文例をまとめました。
養護
- 身の回りの支度や準備のしかたを一人ひとり伝えていけた
- 新しい環境でも安心して過ごせるよう、ゆったりと時間をとって個別にかかわっていけた
教育
- 新しい保育者や友だちに親しめるよう、名前を繰り返し呼んだり、遊びの仲立ちをしたりと配慮していった
- 春の自然に気づけるよう、手遊びや絵本を通して春の生き物や植物を知らせていった
3歳児の月案の反省では、一人ひとりに合わせた援助や配慮ができたかを見てみるとよいかもしれません。
月案に活用できる4月の3歳児保育のポイント
最後に、4月の3歳児クラスの月案作成で意識しておくとよい保育のポイントをまとめました。
個人差に配慮して、一人ひとりの気持ちを受け止めていく
3歳児の場合、月齢よって身の回りの支度や遊びのなかでできることの差が大きいかもしれません。
それぞれに個人差があることを理解して、個別に配慮していくことが大切です。
また、「うまくできなくてもやもやする」「先生と1対1の時間が少なくなってさみしい」といった気持ちを受け止めながらかかわることで、落ち着いて過ごせるようになるでしょう。
玩具をしまう場所やトイレの使い方がわかるように示しておく
3歳児クラスでは、登園・降園時の準備や、遊びのあとの片付け、トイレの後始末などを徐々に一人でできるように援助していくようです。
やり方や場所がわからずに困ってしまうこともあるため、棚に何をしまうかわかるようラベルをつけたり、トイレの使い方を書いた張り紙を掲示したりと環境を整えておくとよいかもしれません。
視覚的にわかりやすくなるよう配慮することで、子どもたちの安心につながりそうですね。
ゆったりとした時間配分を意識する
身の回りの支度や準備に慣れない3歳児の4月には、一日の流れにおいて活動の合間の時間をゆったりと確保することが重要になるでしょう。
時間を多めにとることで、難しいと感じる子どもに保育士さんがついて援助したり、落ち着いて安全に活動したりといったことが実現できそうです。
また、活発に動く内容ばかりでなく、ゆったりとした読み聞かせや折り紙などの活動を取り入れると、新学期でも落ち着いて過ごせるかもしれません。
文例を知って4月の3歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、4月の3歳児クラスで活用できる月案のねらいや反省の文例を紹介しました。
幼児クラスに進級する3歳児の4月には、個別への配慮や安心して過ごせるためのねらいや配慮が大切になります。
養護面に関しても、身の回りのことをしっかりと身につけるためにも、時間配分をゆったり確保しておくこともポイントです。
月案の文例や書き方のコツを知って、4月の3歳児クラスの運営に役立ててくださいね。