担当制保育とは、特定の保育士さんが子どもの身の回りのお世話を受け持つ制度です。さまざまな特徴がありますが、どんなメリット、デメリットがあるのか想像しにくいかもしれません。今回は担当制保育の利点と欠点に焦点を当て、特徴を紹介します。導入園で働くときのポイントなど、就活の園選びに役立つ情報もまとめました。
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担当制保育のおさらい
そもそも担当制保育とは、複数担任である乳児の保育などによく取り入れられる手法で、クラスの子どもに対して担当の保育士を決めてかかわることです。
主に身の回りのことを担当の保育士さんがメインでお世話することが多く、愛着関係を結びやすいなどたくさんのメリットが挙げられます。
特に0歳児や1歳児など、まだ保育士さんと1対1での関係性が大切となる年齢では、特に効果的かもしれません。
担当のグループごとに、順番におむつを替えたり、グループ別に食事をとったりと規則正しい生活リズムを大切にした「流れる日課」も特徴のひとつであるようです。
それによって、子どもは見通しを持って過ごすとともに、子ども一人ひとりのリズムに合わせたかかわりを実現することにつながるのかもしれません。
この担当制保育を取り入れると、具体的にどんなメリットにつながるか、くわしくみていきましょう。
関連記事:担当制保育とは?保育のやり方や1日の流れ、導入園で働くメリット/保育士就活バンク!
担当制保育のメリット
まずは、担当制保育を取り入れるメリットを紹介します。
子どもと愛着関係を形成しやすい
おむつ替えや食事・ミルクなどの身の回りのお世話は、0歳児や1歳児など乳児の子どもたちにとって安心できる大人にやってもらう大切なことのようです。そのため、決まった保育士さんに身の回りの世話をしてもらうことで、子どもは安心して過ごせるようになるでしょう。
身の回りのお世話をすることで愛着関係が作られていくため、担当保育士さんは子どもにとって信頼できる大人だと感じてもらいやすいかもしれません。
子どもの性格や特徴を把握しやすい
毎日決まった子どもの身の回りのお世話を担当するため、子どもの性格や好みなどの特徴を早く掴めるようです。
子どもの特徴がわかっていれば、援助や声かけもしやすく、子どもが落ち着いて過ごすことにつながるでしょう。新卒保育士さんにとっても、保育に早く慣れることができるという利点がありそうですね。
子どものちょっとした変化に気がつきやすい
子どもの食事や午睡、おむつ替えなど毎日の生活習慣を見ている担当保育士さんは、ちょっとした子どもの変化にも気がつくことができそうです。
そうした気づきは、「今日はなかなか寝付けなかったから、夕方に眠くなるかもしれない」など、子どもの様子や健康面を把握するのに役立てられるでしょう。
また、「食べられなかった野菜を頑張って食べた」「初めてズボンを1人で履けた」など、子どもの成長にいち早く気づき、たくさん褒めていけそうですね。
子どもの状況に合わせた保育ができる
担当グループごとにまとまって着替えやトイレ、食事などを行うため、子ども一人ひとりの状況に合わせた保育がしやすいという利点があるようです。
「着脱を自分でやりたがっている子どもが多いため、着替えの時間を少し長くとる」「みんな疲れ気味なので食事は早めに切り上げて早めに午睡する」など、少人数ならではの小回りが利いた動きができるでしょう。
身の回りのことをじっくりと教えられる
担当制保育では基本的生活習慣の自立を促すため、着替えやトイレなど身の回りのことをする時間をゆったりと確保している場合が多いようです。
また、子どもも担当の保育士さんのやり方に慣れており、比較的スムーズに援助することができるでしょう。
新卒保育士さんでも落ち着いてかかわることができたり、生活習慣の自立を援助したりしやすいかもしれません。
保護者との関係も築きやすい
担当制保育では、今日の様子や体調を保護者に申し送りする役割も、担当の保育士さんが行うことが多いようです。
また、担当児の食事や睡眠、排泄など、子どもの成長や健康に直結することを把握できるため、保護者の方に自信をもってくわしく伝えられるかもしれません。
そのため、保護者の方とも打ち解けやすく、信頼関係を作りやすくなりそうですね。
担当制保育のデメリット
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次に、担当制保育を実践するうえでのデメリットをみていきましょう。
担当以外の子どものことを把握しづらい
担当制保育では、受け持っていない子どもの様子や性格、好みなどを把握するまでに時間を要するようです。
身の回りの介助は担当保育士が行うため、食事の好みやトイレトレーニングの進み具合など、細かいことがわかりづらくなるでしょう。
担当の保育士さんとしっかり情報共有をするとともに、他の子どものことは意識的に観察するように心がけるとよさそうですね。
他の子どもに慣れてもらうのに時間がかかる
担当以外の子どもとは、必然的にかかわりが少なくなるため、慣れてもらうのにどうしても時間がかかってしまうようです。
また、担当の保育士さんが休んだり、休憩などでクラスからいなくなったりすると、不安になってしまう子どももいるでしょう。
遊びの時間などには積極的に多くの子どもとかかわるとともに、子どもの性格や好きな遊びを担当の保育士さんに聞いておくとよいかもしれません。
先輩保育士のやり方を見る機会が少ない
毎日決まった子どもとかかわる担当制保育では、先輩保育士さんの援助のしかたを見て学ぶ機会が少なくなるかもしれません。
特に、食事やトイレの援助などは、担当以外の子どものことがわかりづらいため、自分のやり方でよいのか不安になることもあるでしょう。
自ら先輩保育士さんに相談したり、本やネットで調べて子どもの発達やかかわり方を学んだりすることが大切になりそうですね。
担当の子どもや保護者との相性に左右される
保育の専門知識を持つ保育士さんでも、子どもとの間に相性があるかもしれません。
また、子どもだけでなく保護者の方との相性に悩むこともあるでしょう。
担当制保育では、基本的に1年間同じ子どもを受け持つため、相性がよくないと保育を進めるのを大変に感じるかもしれません。
困ったときには担当関係なく柔軟にかかわったり、保護者対応に関しては先輩保育士さんに相談しながら慎重に対応したりできるとよさそうです。
休みを取るのに罪悪感を感じる
担当の保育士さんがいないと、泣いてしまったりなかなか寝付けなかったりと、不安定になってしまう子どももいるようです。
そうなると「自分が休んだら○○くんは落ち着いて過ごせないかも」という思いから、休みを取りにくくなるかもしれません。
休んだ職員の代わりに対応できるベテランのフリー職員がいるなど、安心して休める環境が整った園を選ぶとよさそうですね。
担当制保育の園で働くときのポイント
ここでは、担当制保育を導入した園に入職したときのポイントをまとめました。
まずは担当の子どもとしっかり関係を築く
新卒保育士さんの場合、いきなり全員の子どものことを把握するのは大変かもしれません。
まずは、自分が受け持つ担当の子どものことをよく観察して、じっくりとかかわることで、愛着関係を形成していきましょう。
手遊びやふれあい遊びでたくさんかかわったり、おむつ替えや食事の時間には、「きもちいいね」「おいしいね」と子どもの気持ちに寄り添った声かけをしたりするとよいかもしれません。
生活リズムを整え、子どもが見通しを持って過ごせるようにする
流れる日課を重んじる担当制保育では、子ども一人ひとりの生活サイクルに合わせて保育を進めるようです。
生活リズムを整えられるよう、毎日だいたい決まった時間に食事をしたり、午睡を取ったりすることが大切となるでしょう。
毎日同じサイクルで過ごすことで子どもたちも見通しがつくようになり、情緒が落ち着くようです。普段から「ごはんを食べたらねんねしようね」「お着替えをしたらお外に遊びに行くよ」と、見通しを持てる声かけをすることも重要かもしれません。
わからないことは先輩保育士に積極的に聞く
先輩の保育が見えにくい担当制保育では、新卒保育士さんから積極的に質問や相談をしに行く姿勢が大切になりそうです。
「○○ちゃんは菜っ葉が苦手で口から出してしまうのですが、どう援助するとよいですか?」など、具体的なエピソードとともに相談すれば、先輩保育士さんも答えやすいかもしれません。
また、担当外の子どもとのかかわりで悩んでいる場合は、その子の担当を持っている保育士さんに聞くようにするとよいですね。
担当以外の子どもともかかわる機会を作る
担当の子どもに慣れてきたら、担当外の子どもとも積極的にかかわっていきましょう。
担当制保育の園でも、遊びの時間や早朝・延長保育の時間には担当関係なくかかわれるかもしれません。
身の回りのお世話をしないぶん、たくさん遊んだり声かけをしたりして、「この先生といっしょにいると楽しいな、落ち着くな」と思ってもらえるような援助ができるとよいですね。
担当制保育のメリットとデメリットを理解して現場に活かそう
今回は、0歳児など乳児保育で取り入れられる、担当制保育のメリットとデメリットについてくわしく解説しました。
子ども一人ひとりに担当の保育士がつき、身の回りのお世話をする担当制保育では、子どもと愛着関係を結びやすい、個々の状況に合わせた援助ができるなど多くのメリットがあります。
一方、担当外の子どもに慣れるまで時間がかかるなどデメリットもあるため、担当外の子どもとかかわる機会を持ったり、先輩保育士に相談したりなど対応していくことが大切になるでしょう。
担当制保育のメリット・デメリットを理解して、園選びや入職準備に役立ててみてくださいね。