保育園を辞めるにあたって、円満退職したいと考える新卒保育士さんもいるでしょう。前向きな気持ちで次の園で働くためにも、できるだけ気持ちよく退職したいですね。今回は、円満退職をするまでの流れやポイントについて具体的に紹介します。あわせて、退職理由をポジティブに伝えられる例文もくわしくまとめました。
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■目次
新卒保育士は円満退職をしたほうがよい?
円満退職とは、新卒保育士さんと園がお互いに納得した状態で退職することです。
園ともめたり、他の保育士さんとトラブルを起こしたりした場合は、ネガティブな気持ちのまま退職することになってしまうでしょう。
そのため、自分も園もお互い気持ちよく手続きを進められるように、円満退職をすることが望ましいですね。
また、円滑に引継ぎを行える、前向きな気持ちで次の園で働けるなど円満退職にはさまざまなメリットがあります。次でくわしく見ていきましょう。
1年目の保育士が円満退職をしたほうがよい理由
1年目の保育士さんが、円満退職をするメリットをまとめました。
手続きや引継ぎを円滑に進められる
退職をする際は、社会保険の手続きなどさまざまな書面を交わす必要があるようです。
万が一後から書類の不備が発覚したときも、良好な関係のまま退職をすれば対応をお願いしやすくなるかもしれませんね。
また、退職するときは後任の保育士さんが困らないように引継ぎをする必要があります。円満退職をすれば、漏れなく情報を伝えられたり、丁寧に共有したりできるでしょう。
退職日まで人間関係を良好に保てる
退職の意志を伝えたときに園長先生と揉めるなどのトラブルが発生してしまうと、他の保育士さんにも伝わり、園での人間関係に問題が起こってしまうかもしれません。
そうなってしまうと、退職を伝えてから退職日まで期間が空く場合特に働きづらくなってしまうので、最後まで気持ちよく働けるよう円満退職をするとよいですね。
ポジティブな気持ちで転職できる
トラブルを起こしたまま退職すると、不安が募り新たな職場で気持ちよいスタートを切れないかもしれません。
働いていた園の思い出をポジティブなものとして留めたり、次の職場でも自分らしく働けるようにしたりするため、できるだけ円満退職を目指しましょう。
1年目の保育士が円満退職をするまでの流れ
続いて、1年目の保育士さんが円満退職に至るまでの流れを解説します。
1.退職の意志を伝える
園は代わりの保育士さんを見つけたり、配置を調整したりする必要があるので、退職日が明確になったら、できる限り退職日の2~3カ月前には伝えるようにしましょう。
しかし、心身の不調があるなど緊急を要する場合は、すぐに主任保育士に相談することが大切です。
2.退職願・辞表を提出する
退職の意思を伝えるときは、退職願や辞表を提出しましょう。
私立保育園で退職を願い出るときは退職願、退職が決まった後に届け出るのは退職届と言われています。
また、公立保育園に勤める公務員保育士さんや役職がある保育士さんは、どちらの場合も辞表を提出するのが一般的のようです。
しかし、いきなり退職願や辞表を提出するのはマナー違反なので、園長としっかり話し終わった後に、最終的な意思表示として提出するようにしましょう。
退職願・辞表を作成するときのポイント
通常、B5サイズの縦書き用便箋に、ボールペンで記載していきます。白い封筒の中央に「退職願」や「辞表」と書き、裏に自分の名前を書いてから便箋を入れ、園長先生などに提出しましょう。
次に、便箋に記載する内容について紹介します。
退職願・辞表の例
退職届(辞表) 私事
この度、一身上の都合により、勝手ながら○年○月○日をもって退職いたします。
○年○月○日 名前 ㊞
保育園名 代表者名
退職理由は人によりさまざまですが、どのような内容でも「一身上の都合により」と記載することがマナーです。
また、保育園名は正式名称で書き、自分の名前の下に押印することも忘れないようにしましょう。
3.退職の手続きをする
退職願や辞表を提出したら、必要になる主な手続きは以下の通りです。
- 誓約書の提出
- 備品の返却
- 交通費の清算
- 健康保険被保険者証の返却
- 源泉徴収票の受け取り
- 社宅の退去手続き
園によって退職の手続きは異なるため、それぞれ園長先生などに確認しながら進めるようにしましょう。
借り上げ社宅に住んでいる新卒保育士さんは退去手続きも必要になるので、計画を立てながら手続きを行うことが大切です。
4.引継ぎを行う
自分が担っている仕事のほか、担当クラスの子どもの健康状態や家庭環境、1日の流れなど、退職をする前にこまかく引継ぎを行います。
複数担任制の場合、新しい保育士さんと交代になる可能性もあるので、現在いっしょに働いている保育士さんも含めて引き継ぎ作業をすると、漏れなく伝えられるでしょう。
また、他の保育士さんがいつでも見返せるように個別対応票などの重要な書類を整理しておくとよさそうです。
5.子ども・保護者・他の保育士に挨拶する
園の職員さんへの挨拶はできるだけ全員に口頭で行うと、丁寧な印象を与えられて円満退職につながりやすくなるでしょう。
保護者には、1カ月前を目安に「○月末で退職する運びとなりました」と伝えれば、不安感を与えにくいかもしれません。
しかし、園によっては伝えるタイミングに関して決まりがある場合もあるので、園長先生と相談しておきましょう。
また、子どもには「先生はもう来なくなっちゃうけどずっと応援しているからね」などやさしく伝えることが大切です。ただし保護者への挨拶と同様に、伝えるタイミングや具体的な言葉かけの方法は、園長先生や主任保育士さんに相談するとよいかもしれませんね。
新卒保育士が円満退職をするためのポイント
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ここでは、新卒保育士さんが円満退職をするために気をつけるポイントを紹介します。
退職時期を慎重に検討する
保育士さんはそれぞれ配置が決まっていることが多いようなので、できる限り園全体の配置が変わる年度末に退職したほうがよいでしょう。
年度末であれば引継ぎもしやすく、他の保育士さんの負担を減らせることから円満退職につながりやすいかもしれません。
年度末が難しいときは年度途中でもよいようですが、運動会など大きなイベント前は慌ただしいため、園が落ち着いたタイミングで退職できるとよさそうですね。
相談する時間を取ってもらう
退職する旨を伝えるときは、まず主任保育士さんなど直属の上司から報告するようにしましょう。
落ち着いて相談するためにもしっかり時間を取ってもらい、職員室のような個室で話すとよいかもしれません。
余裕を持って退職日を伝える
上記で紹介したように、退職する意志や退職希望日は十分な余裕を持って伝えることが大切です。
民法では2週間前までに伝えればよいとされていますが、園は配置を変更したり新しい保育士さんを募集したりなどの対応が必要になるため、なるべく2~3カ月前までには話しましょう。
急に退職が決まった際も、遅くても1カ月前までには伝えられるとよいかもしれません。
また年度末に退職する場合は、前年の秋ごろに行われるヒアリングで転職の意向を伝えたり、検討段階でも相談したりしておくとよさそうです。
その場合、「いつまでに決めてほしい」と言われることもあるかもしれないので、期日までに意向を決め、しっかりと報告するようにしましょう。
仕事は最後まで真摯にやり抜く
退職するからといって仕事の手を抜いてしまうと、他の保育士さんにマイナスの印象を与えたり、子どもや保護者に迷惑がかかったりすることが考えられます。
最後まで全力でやり抜くことで誠実なイメージを与えることができ、円満退職につながるかもしれませんね。
ポジティブに退職理由を伝える
「残業が多い」「人間関係に問題がある」など、ネガティブな理由で転職を決めた方もいるでしょう。
しかし、マイナスな理由をそのまま伝えてしまうと、相手を不快にさせたり「配置を変えるから」と引き止めに合ったりするかもしれません。
そのため、「仕事のオンオフをしっかり切り替え、よりよい保育を行いたい」のようにポジティブに変換した内容や、自分都合の理由を伝えられるとよいですね。
では、円満退職につながる、ポジティブな退職理由の例文を紹介します。
新卒保育士が円満退職をするための退職理由の例文
最後は、新卒保育士さんが円満退職をするために役立つ、退職理由の例文をまとめました。
人間関係に問題がある場合
先輩の保育士さんからご指導を頂いたときは、二度と同じ失敗を繰り返さないように仕事内容を表にまとめるなど尽力したのですが、信頼関係を築くことができなくなってしまいました。
先輩保育士さんとの人間関係にトラブルがあり、退職を決めたときの例文です。
自分が行った対策をしっかり伝えたり、「信頼関係を築くことが難しくなった」とやわらかい表現を使ったりすることがポイントになります。
働き方に不満がある場合
より保育に集中するためには、仕事とプライベートを両立させることが必要だと思いました。身体を休める時間と保育を行う時間をしっかりと分けたいため、退職させていただきます。
持ち帰り残業が多いなど、働き方に不満がある場合の退職理由の例文です。
「保育に集中するために仕事とプライベートを分けたい」と伝えることで、仕事熱心な印象を与えられるかもしれませんね。
関連記事:1年目で辞めたい保育士必見!退職理由の例文やポジティブな伝え方/保育士就活バンク!
新卒保育士は、退職理由や時期を検討して円満退職を目指そう
今回は、新卒保育士さんが円満退職をするまでの流れやポイントを紹介しました。
円満退職をすれば前向きな気持ちで転職できたり、スムーズに手続きを進められたりするなどさまざまなメリットがあるでしょう。
そのため、心身に不調が起きているなど緊急性がない場合は、できるだけ年度末に退職すると気持ちよく退職できるかもしれません。
1年目の保育士さんは、ポジティブな退職理由を伝えるなど注意点を意識して、円満退職を目指してみてくださいね。