5歳児クラスの担任を務める際、保育で大切なこととは何でしょうか?小学校入学を控えた重要な1年だからこそ、子どもが主体的に考え、行動できる環境を整えていきたいですよね。今回は、5歳児クラスの発達の特徴やねらいの立て方、1年間の流れ、関わり方のポイントを紹介!クラス運営やトラブル対応など、よくある悩みに答えるQ&Aをまとめたので、新卒の保育士さんも参考にしてみてくださいね。
Paylessimages / stock.adobe.com
5歳児を保育するうえで大切なことをチェック!
5歳児は、小学校入学を控えた園生活の集大成ともいえる時期でしょう。
担任を務める際は、発達の特徴を理解し、適切なねらいを立てることが大切です。
まずは、5歳児の発達の特徴やねらいの立て方、遊びの選定方法について確認し、日々の保育に活かしていきましょう。
発達の特徴
5歳児の発達の特徴を紹介します。
発達の種類 | 特徴 |
---|---|
身体の発達 |
|
言語の発達 |
|
社会性の発達 |
|
自立心の発達 |
|
一般的な例となるため、子どもの個性や成長のペースに違いがあるでしょう。一人ひとりの特性をふまえたうえで、園生活がより充実したものとなるようにサポートすることが大切です。
ねらいの立て方
5歳児クラスの保育を行ううえで、1年間の計画を立てることが大切です。
ねらいは、「保育年間計画」「月案」「週案」「日案」などの計画に基づいて設定し、子どもの成長やクラスの状況に応じて柔軟に調整しましょう。
保育のねらいの立て方のポイントは以下の通りです。
- 子どもの様子を観察し、成長の段階や興味を把握する
- 1年間の流れを見通し、行事や季節の特色をふまえる
- 子どもがどのような経験を積めるかを考え、具体的な目標を設定する
- 遊びや活動の中で主体的に学べるような内容を意識する
子どもの姿に寄り添いながら、日々の成長を丁寧に見守ったうえでねらいを定めることが大切です。また、小学校入学に向けて少しずつ準備できるよう、就学を意識した目標も取り入れていきましょう。
遊びの選定方法
5歳児の遊びは、興味を引き出しながら、主体性や協調性を育むことが大切です。発達段階やクラスの状況に合わせて、以下のポイントを意識して遊びを選定していきましょう。
身体を動かす遊び
ルールを理解し、友だちと協力しながら全身を使って遊ぶことで、バランス感覚や持久力を養える遊びを取り入れていきましょう。
【例】
- しっぽ取り:動きを考えながら逃げる・追う力を身につける
- チーム対抗リレー:友だちとバトンをつなぎ、勝利を目指して協力する力を育む
- 長縄跳び:友だちとタイミングを合わせて協力する経験を積む
製作を楽しむ遊び
手先を使って表現する楽しさを味わいながら、創造力や協調性を育める遊びを取り入れていきましょう。
【例】
- ダンボール迷路づくり:友だちと協力しながら大きな作品を作り、達成感を味わう
- オリジナル紙芝居:お話を考え、言葉と絵で表現する力を育む
- 手作り楽器で合奏:音やリズムを楽しみながら、協調性や表現力を伸ばす
生活習慣を身に付ける遊び
小学校入学に向けて、身の回りのことを自分でできる力を育てながら、生活の流れを意識できる遊びを取り入れていきましょう。
【例】
- 時間を意識した片付けゲーム:制限時間内に片付けを終わらせて、時間を意識した行動を身につける
- 手洗いスタンプチェック:手のひら・指の間・爪の中など、洗い残しがないように楽しく練習する(手洗いチェックシートやスタンプを活用)
- 挨拶チャレンジ:「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」など挨拶の回数を発表し合い、習慣化する
5歳児クラスの1年間の流れと保育で大切なこと
Paylessimages / stock.adobe.com
新年度が始まり、子どもたちは環境に慣れ、友だちと関わりながら成長し、小学校入学へ向けた準備を進めていくことでしょう。
1年間を「1学期」「2学期」「3学期」に分け、成長に合わせた関わり方や保育のポイントを紹介します。
1学期(4月~8月):新しい環境に慣れ、子どもとの信頼関係を築く
新年度が始まり、新しいクラスや先生、友だちとの生活がスタートする時期です。進級して「お兄さん・お姉さんになった!」と張り切る姿が見られる一方で、不安を抱える子がいるでしょう。
まずは安心できる環境を整え、信頼関係を築くことが大切です。
また、春から夏へと季節が移り変わる時期でもあるため、体調管理や水分補給などにも気を配りながら、元気に過ごせるようサポートしていきましょう。
環境の変化に寄り添い、安心感を抱けるように接する
- 朝の受け入れ時には名前を呼びながら、笑顔で声をかける
- 活動の切り替えは焦らせず、次の流れが分かるように伝える
- 春や夏の自然に興味を持てるような声をかけ意識し、散歩や公園に出かける
- 夏の暑さに配慮し、涼しい場所で休憩する時間を増やし、体調管理に気をつける
友だちとの関係づくりの機会を設ける
- 自由遊びを積極的に取り入れ、子ども同士の関わりを見守る
- ルールのある遊びは、無理なく取り入れながら、集団で遊ぶ楽しさを伝える
- 春の自然に触れる遊びや夏の水遊びを取り入れ、協力する楽しさや季節を感じながら、子どもたち同士の絆を深める
身の回りのことを自分でできるようにサポートする
- 持ち物の管理や支度を「自分でやってみようね」と促す
- 「ボタンを自分で留められたね!」「靴をそろえられたね!」と具体的にできたことを伝え、自信を持てるよう声をかける
- 活動時間を意識し、片付けに取り組めるように声かけしていく
この時期は、子どもが安心して過ごせることを最優先にしながら、少しずつ生活リズムや友だちとの関わりに慣れていけるように支えていきましょう。
2学期(9月~12月):友だちとの関わりを深め、協調性を育てる
2学期は、子どもたちが少しずつ自立し、友だちとの関わりが深まっていく時期でしょう。集団生活の中で協力し合うことやルールを守ることの大切さを学べる機会を設けられるとよいですね。
また、秋や冬の行事や季節の変化を感じられるような活動を保育に取り入れていきましょう。
集団の中で友だちとの関わりを深められる機会をつくる
- 自由遊びを通して子ども同士の関わりを見守り、トラブルがあった際は解決方法をいっしょに考える
- 集団でいっしょに取り組む遊びや行事を通じて、協力する楽しさや仲間意識を育む
- 友だちの気持ちを尊重し、お互いの違いを理解し合う活動を取り入れる
役割やルールを意識して生活できるようにサポートする
- みんなで協力して物を作る活動や、役割分担を通して、協調性や責任感を育てる
- 運動会や遠足など、集団活動を楽しみながら、ルールを守って協力する力を育てる
- 日常的に挨拶や感謝の気持ちを表現できるように声をかける
季節の移り変わりを感じながら活動を楽しむ
- 秋の自然観察や収穫体験を通して、季節の移り変わりを感じ、生命の大切さを学ぶ機会を設ける
- 冬の準備や雪遊びなど、寒さに適応し、冬の季節を楽しむ活動を取り入れる
- 天候や気温に合わせた過ごし方を知れるように声をかける
友だちといっしょに季節を感じながら、さまざまな活動を通じて絆を深め、心身ともに成長できるようサポートしていきましょう。
3学期(1月~3月):小学校入学に向けた準備をする
3学期は、いよいよ小学校入学が近づき、子どもたちが新しい環境に向けて準備を始める大切な時期です。これまでの園生活を振り返りながら、自信を持って新しい挑戦に向かえるようサポートできるとよいですね。
小学校入学への準備をサポートする
- 子どもたちが小学校への期待を膨らませ、前向きに準備ができるようにポジティブな声かけする
- 生活リズムや学校での基本的なマナー(給食や挨拶)を楽しみながら学べるように工夫する
- 小学校への訪問や小学校周辺に散歩に出向くなど学校の雰囲気を知り、入学に対する不安を減らせるようにサポートする
子ども自身が自分の気持ちを表現する機会を設ける
- 発表会や卒園式を通じて、子どもたちが自分の思いや感情を伝える力を育む
- 日常的に「どう思う?」や「どう感じた?」などの質問を使って、子どもたちが自分の考えを自然に表現できるように促す
- 友だちの前で発表する機会や意見を言い合う時間を設け、表現する楽しさを感じられるようサポートする
仲間との絆を深め、卒園の準備を整える
- 卒園に向けて、子どもたちがこれまでの楽しかった思い出をみんなで振り返り、友だちと「ありがとう」の気持ちを伝え合えるようにサポートする
- 友だちと卒園式の準備を進めることで、達成感や仲間意識が育まれるように、楽しく協力しながら活動を進める
- 友だちとの思い出を共有し、最後の園生活を大切にしながら、心温まる時間を過ごせるようにする
園で過ごす時間もあとわずかとなります。子どもたちが笑顔で思い出を振り返られるよう、特別な時間を積み重ねていきましょう。
5歳児クラスの保育で大切なこと【疑問やお悩みQ&A】
Peak-River / stock.adobe.com
5歳児クラスを担当すると、「これでいいのかな?」と不安に感じることもありますよね。
ここでは、よくある疑問やお悩みを紹介します。
Q1.子ども同士のケンカが増えたとき、どう対応すればいい?
友だちとの意見の違いからケンカが増えることがあるでしょう。大切なのは、保育士がすぐに仲裁するのではなく、自分たちで解決できる力を育てることです。
まずは気持ちが落ち着くように「どうしたかった?」「何が嫌だった?」と気持ちを伝え合う場をつくりましょう。どうすればよかったかを自分自身で考えてもらうことが大切です。
ただし、話し合いが難しいときや一方的に子どもが傷つくような場合は介入し、「困ったときは先生もいっしょに考えるから、まずはどうしたらいいか話し合ってみようね」と伝えてみましょう。
Q2.話を聞いてくれない子がいます。どんな工夫をすればいい?
子どもが話を聞いてくれないときは「どうすれば興味を持って聞けるか」を工夫してみましょう。
例えば、目線を合わせて名前を呼び、「〇〇くんに大事なお話があるよ」と特別感を出すと、意識を向けやすくなります。
また、「先生のお話が終わったら、次は〇〇くんのお話を聞かせてね」と、会話のキャッチボールを意識して声かけしてみるとよさそうです。
話が長くなると集中しにくいため、短くわかりやすく伝えるのもポイントです。楽しい雰囲気の中で、少しずつ聞く力を伸ばしていけるといいですね。
Q3.卒園に向けた準備に忙しく、3学期がとても忙しくなりそうで不安です。モチベーションを上げる方法は?
3学期は卒園式の準備や行事が多く、忙しくなりそうですね。しかし、「子どもたちと過ごせる最後の時間」と思うと、一日一日が特別に感じられるかもしれません。
忙しい中でも、子どもたちの成長を振り返り「こんなにできることが増えたんだ!」と実感すると、明るい気持ちになれそうです。
また、同僚と「今日の子どもたち、こんなにかわいいことしてたよ!」なんてエピソードを話すのも、気持ちがほっこりして前向きになれることもあるでしょう。
大変な時期ですが、適度にリフレッシュしながら仕事と向き合えるとよいですね。
5歳児の保育で大切なことを知り、子どもたちの成長を支えよう
5歳児は、友だちと助け合いながら大きく成長し、小学校入学を控える大切な時期でしょう。
子どもたちの気持ちに寄り添い、一人ひとりが主体的に行動できるように成長を支えていきましょう。
また、卒園児を送り出すというのは、保育士さんにとっても特別な経験。一日一日を大切に、笑顔あふれる思い出をたくさん作れるとよいですね。
「保育士バンク!新卒」では、日々の保育に使える遊びネタや行事のネタを情報を配信しています。
また、就職・転職活動のサポートも行っているので「違う環境で保育の経験を積んでみたい」などのご希望がある方はご相談お待ちしています。あなたが楽しく働ける職場をいっしょに探していきましょう。