保育実習や入職後に室内遊びをするとき、ゲームを取り入れたい学生さんもいるかもしれません。じゃんけん・クイズなどのアイデアを知っておけば、保育の現場で役立つでしょう。今回は、室内遊びのゲームアイデアを、乳児クラスと幼児クラスに分けて紹介します。また、ねらいや遊ぶときのポイントについてもまとめました。
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■目次
室内遊びでゲームをするねらい
室内遊びのゲームとは、保育室内での身近な素材を使ったゲーム性のある遊びや、簡単なルールのある遊びのことをいいます。
雨が続く時期や冬の寒い時期などは、保育園や幼稚園でも室内遊びをする機会が増えるかもしれません。学生さんがゲームのレパートリーをいくつか持っておくことで、実習や入職後に室内で過ごすときも、子どもたちが飽きずに楽しめるでしょう。
まずは、乳児クラスと幼児クラスにおける室内遊びのゲームのねらいを見ていきましょう。
乳児クラス
- ゲームのなかでいろいろな素材に好奇心をもつ
- ゲーム遊びを通して体の動かし方を学ぶ
- ゲームのなかで友だちや保育士さんとのかかわりを楽しむ
乳児クラスでは、ゲームを通していろいろな素材に触れたり、体の動きを学んだりすることをねらいとしているようです。子どもが友だちや学生さんとのかかわりを楽しみながら、安全に取り組めるゲームを設定できるとよいですね。
幼児クラス
- ゲームのルールを理解して、守りながら遊びを楽しむ
- 集団でのゲームを楽しむことで、社会性や協調性を育む
- ゲームを通して、友だちと気持ちやイメージを共有する楽しさを学ぶ
幼児クラスでは、ゲームを通してルールの大切さを知ることや、友だちと楽しさを共有することをねらいとしているようです。 子どもの様子にあわせた説明のしかたを意識し、ルールが簡単なアイデアから取り入れるとよいですね。
保育園の室内遊びでゲームをするときのポイント
保育園や幼稚園で室内遊びをする際、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
安全に配慮する
室内でゲームをするときは、安全に配慮した環境設定にすることが大切です。
ゲームの内容によっては子どもが動き回ったり、走ったり跳んだりするかもしれません。転倒やケガを防ぐためにも、始める前に物を片づけ、スペースを広くとっておきましょう。
また、転倒しそうな場所にあらかじめマットを敷いておくのも、安全対策の一つになります。
年齢に合わせたアイデアを取り入れる
ゲームをするときは、以下のように担当する子どもの年齢に合わせたアイデアを取り入れるとよいでしょう。
- 0歳児~1歳児:ルールの理解が難しいため、運動遊びと組み合わせたゲーム
- 2歳児~3歳児:鬼ごっこなど簡単なルールのあるゲーム
- 4歳児~5歳児:じゃんけんやクイズなど少し難しいルールのあるゲーム
指導案を作成するときは、担当するクラスの子どもたちの様子に合わせて、ねらいやゲームの内容を設定しましょう。
低年齢のクラスでは月齢によってもできることが異なるかもしれません。子どもをよく観察したり、担任の先生にどんなことができるか聞いたりしながら、アイデアを選ぶとよさそうです。
室内遊びにゲームを取り入れるときのポイントを押さえたところで、ここからは年齢別のアイデアを紹介します。
【乳児クラス向け】室内遊びのゲームアイデア
まずは0歳児・1歳児・2歳児の乳児向けのゲームアイデアです。
これなんだ?ゲーム
これなんだ?ゲームは、新聞紙から見える物が何か当てるゲームです。
0歳児は自分から答えを発言するのは難しいかもしれないません。そのため、穴からヒントを見せて惹きつけてから、「いないいないばぁ」のように新聞紙のうしろから物を出すとよいでしょう。
1歳児や2歳児の場合、子どもから答えを引き出せるようにぬいぐるみのしっぽや耳だけ見せるなど、徐々にヒントを見せながら進めることがポイントになります。
ハイハイ鬼ごっこ
ハイハイ鬼ごっこは、ハイハイしながら追いかけたり、追いかけられたりすることを楽しむ鬼ごっこです。
遊び方
1.学生さんが鬼となって、ハイハイで子どもたちを追いかけます。
2.子どもたちは鬼に捕まらないようにハイハイで逃げます。
3.遊びを繰り返します。
援助のポイント
学生さんは、子どもたちの様子を見ながらハイハイする速さを調整し、「待て待てー」などと言いながら追いかけるのがポイントです。子どもを捕まえるときは「〇〇ちゃん、ターッチ!」と声をかけながらスキンシップをはかるとよいでしょう。
1歳児や2歳児のなかには、追いかけることができる子どももいるかもしれません。その場合は「今度は〇〇くんが先生を捕まえてみて!」と言って、学生さんを追いかけてもらうようにすると、より楽しめるかもしれません。
ボーリング遊び
紙コップでピン、新聞紙で玉を手作りして、子どもとボーリング遊びをしてみましょう。
ピンや玉はあらかじめ学生さんが作っておきましょう。
0歳児は自分で玉を転がすことが難しいかもしれないので、学生さんが子どもを抱っこしながら手をやさしく持ち、いっしょに転がして遊ぶとよいでしょう。
1歳児や2歳児は、玉からピンまでの距離を調整しながらゲームを楽しみましょう。少しずつ離れたところから転がすなど、難易度を変えるとより楽しめるかもしれませんね。
玉入れゲーム
身近な物を使って、簡単な玉入れゲームをしてみるのはいかがでしょうか。
玉入れのカゴや玉は、あらかじめ学生さんが作っておきましょう。
はじめは子どもたちが自由に玉を投げ入れる動きを楽しめるよう援助し、慣れたらアレンジした遊び方にするとよいかもしれません。
たとえば床にビニールテープを貼って玉を投げられる範囲を決めておき、ラインから出ないようにカゴに向かって投げるといった簡単なルールを設定して遊ぶと、さらに盛り上がりそうです。
的当てゲーム
壁の的に向かって玉を投げる、的当てゲームのアイデアです。
玉や的はあらかじめ学生さんが用意しておきましょう。 模造紙に大きな的を貼るなど、乳児クラスの子どもが簡単に楽しめるよう工夫して作るとよさそうです。
的当てのルールが理解できたら、玉を投げる位置を徐々に遠くして難易度を上げてみれば、子どもたちも夢中になって遊べるかもしれませんね。
【幼児クラス向け】室内遊びのゲームアイデア
次に、3歳児・4歳児・5歳児向けが室内遊びで楽しめるゲームのアイデアを紹介します。
シルエットクイズ
影の形を見て、何か当てるシルエットクイズのアイデアです。
クイズの正解は、おにぎりや時計など普段子どもたちが目にしている物にすると想像しやすいでしょう。
3歳児クラスではなかなか答えが出てこないこともあるかもしれません。その場合は、「ヒント1!これは食べ物だよ」「ヒント2!海苔が巻いてあるよ」など少しずつヒントを出すと答えやすくなるでしょう。
ピンポン玉リレー
ピンポン玉を使ったリレーゲームのアイデアです。
遊び方
1.クラスのなかで3つ~4つほどのチームを作ります。
2.スタート地点と折り返し地点を決め、子どもたちにどのようなルートをたどるか説明します。
2.1人目の子どもはお玉にピンポン玉を乗せてスタートし、落とさないように折り返し地点を回ります。
3.スタート地点に戻ったら、2人目の子どもにお玉を渡してバトンタッチします。
4.(2)と(3)を繰り返し、一番早く全員がゴールしたチームが勝ちになります。
援助のポイント
ゲームを始める前に、「ピンポン玉を途中で落とした場合は、スタート地点に戻って再スタートする」などのルールを決めておきましょう。
3歳児クラスでは基本的な遊び方を楽しみ、4歳児や5歳児クラスではピンポン玉をスプーンに乗せてリレーするなど、アレンジした遊び方に挑戦するのもおもしろいかもしれません。
色探しゲーム
色探しゲームは、身近な環境のなかから指定された色を探すゲームです。
遊び方
1.5~10色の色のカードを用意しておきます。用意する色のカードは、表面だけ色が付いていて裏面は色がついない折り紙のようなカードにします。
2.色のカードをテーブルや床に伏せた状態で並べます。
3.子どもを3~4人チームに分け、スタートラインを決めて並びます。
4.「よーい、ドン」の合図に合わせてカードの場所へ行き、伏せた色カードの中から1枚めくります。
5.カードの色を周りの環境のなかから探してタッチするか、その物を持ったらスタート地点に戻って次の子どもにバトンタッチします。
5.めくったカードの色のものを早く全員が集められたチームが勝ちです。
援助のポイント
3歳児と5歳児では、色の理解や知識に差があるかもしれません。カードを準備するときは、担当する子どもの年齢にあわせて色の数を調整したり、室内で探しやすい色を設定したりすると、子どもが探しやすくなるでしょう。
色探しゲームのねらいやくわしい遊び方については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
関連記事:保育園で楽しめる色探しゲームとは?ねらいと遊び方、遊ぶときのポイント
じゃんけん列車
じゃんけん列車は、子ども同士でじゃんけんをしながら列車のようにつながっていくゲームです。
遊び方
1.ゲームが始まったら学生さんが音楽を流し、子どもたちは音が止まるまで自由に動きます。
2.音楽が止まったら、近くにいる友だちとじゃんけんをします。
3.じゃんけんに負けた人は、勝った人の後ろにつながります。
4.(1)~(3)を繰り返し、最後に列車の先頭にいる子どもがチャンピオンとなります。
援助のポイント
つながって進むときに走ると、後ろの子どもといっしょに転倒してしまう恐れがあります。そのため、あらかじめ「進むときは走らないで歩こうね」と約束しておくことが大切です。
じゃんけん列車のねらいやくわしい遊び方については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
関連記事:じゃんけん列車の簡単なルールの説明について。アレンジの仕方や子どもに説明するときのポイント
ジェスチャーゲーム
ジェスチャーゲームは、身振り手振りで相手にテーマを伝えるゲームです。
遊び方
1.5人程度のチームを作り、回答者を1人決めます。
2.回答者以外がジェスチャー役となります。そのなかで順番を決め、学生さんが出題するお題を制限時間内で1人ずつ表現していきます。
3.回答者が正解したら次のジェスチャー役にお題を伝え、表現します。回答者が制限時間以内に答えられなかった場合、もしくはわからないと判断した時点で申し出た場合は「パス」とし、別のお題に変更します。
4.ジェスチャー役全員分のお題を、回答者が早く正解したチームが勝ちです。次は回答者を変えて、ゲームを繰り返します。
援助のポイント
上記で紹介した遊び方では、回答者を1人にすることで、全員が平等に回答者とジェスチャー役をすることができるでしょう。基本的な遊び方に慣れたら、順番に出題者と回答者をリレーしていくなどアレンジしてみると、より盛り上がるかもしれませんね。
ジェスチャーゲームのねらいやくわしい遊び方については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
関連記事:保育園でのジェスチャーゲームの遊び方。上手に説明して子どもたちと楽しもう
室内遊びにゲームを取り入れて子どもたちと盛り上がろう
今回は、室内遊びにおけるゲームのねらいや、乳児クラスと幼児クラスで楽しめるアイデアを紹介しました。
0歳児~2歳児の乳児クラスでは運動遊びと組み合わせたものや簡単なルールのあるゲームを取り入れると、子どもにもわかりやすく、楽しめるかもしれません。3歳児~5歳児の幼児クラスでは、ルールを守りながらゲームを楽しむことで、子どもの協調性を育むことができそうです。
さまざまなアイデアのなかから子どもの様子に合ったゲームを選んで、室内遊びを盛り上げられるとよいですね。