保育園以外にも保育士資格を活かせる就職先はある?施設の選び方や給料事情

保育士資格を活かせる就職先には、託児所や放課後児童クラブなどがありますが、保育園以外にどのような施設があるのかもっと知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか? 今回は、保育士資格が活かせる保育園など児童福祉施設の役割と仕事内容について紹介します。自分に合った就職先の選び方についてもまとめました。

保育士と子どもの写真

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保育士資格を活かして働くには?

保育士資格の取得を目指す学生さんのなかには、卒業後どのような施設で働こうか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

保育士というと保育園で働くイメージが強いかもしれませんが、近年は待機児童問題や共働き家庭の増加、教育施設の多様化に伴い、保育園以外にも保育士資格を活かせる就職先が増えてきているようです。

その例として、以下のような就職先が挙げられます。

  • 認定こども園
  • 託児所
  • 乳児院などの児童福祉施設
  • 放課後児童クラブ
  • ベビーシッター など

このようにさまざまな施設やサービスがあるようなので、自分に合った就職先を見つけられるとよいですよね。

今回のコラムでは、それぞれの施設や業種の特徴・仕事内容についてくわしく紹介します。

保育士資格を活かせる就職先:保育所、認定こども園など

まずは、保育園や認定こども園など、一般的な保育施設の特徴や仕事内容を見ていきましょう。

保育施設は、大きく分類すると国の認可を受けた認可保育施設と、認可を受けていない認可外保育施設に分けられます。

認可保育施設

認可保育施設とは、国が定めた施設の広さや職員数などの条件をクリアして、都道府県の認可を受けた施設です。

基本的にはその地域に住む、または通勤通学などで通う保護者が利用します。

保育所(公立保育園・私立保育園)

保育所とは、就学前の0~5歳児を利用対象とし、就労などにより家庭で保育できない保護者に代わって保育する施設のことです。就職するには保育士資格が必要となります。

開園時間は一般的に8時頃から18時頃までとなっているようですが、早朝や夜間、休日などに延長・預かり保育を実施している園もあるでしょう。

認定こども園

認定こども園とは、幼稚園と保育所の機能や特長をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設です。
就職するには、保育士資格・幼稚園教諭免許の両方を求められる場合が多いようです。

保育自体は同時に行いますが、内部では3~5歳児の幼稚園コースと0~2歳児の保育園コースに分かれている園もあります。

開園時間は園によって異なるものの、一般的な幼稚園と同じく8時~14時頃までを教育標準時間とし、早朝や夕方の時間には預かり保育を実施している園もあるようです。

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地域型保育事業

地域型保育事業とは、保育所(原則定員20人以上)より少ない定員で、0歳児から2歳児を利用対象とする保育事業です。就職するには、保育士資格が必要となるようです。

保育ママや小規模保育園など、少人数で家庭的な雰囲気のもとで保育が行われることが地域型保育事業の特徴かもしれません。

関連記事:小規模保育園とは?特徴や保育士の働き方、就職するうえでのメリット/保育士就活バンク!

幼稚園

幼稚園とは、文部科学省が管轄する、小学校以降の教育の基礎をつくるための幼児教育施設です。就労するには幼稚園教諭免許が必要になります。

幼稚園は利用できる家庭に制限がなく、入園を希望すれば誰でも利用できます。

対象は3~5歳児となり、昼過ぎ頃までの教育時間に加え、午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の預かり保育などを実施しているところもあるでしょう。

関連記事:保育園と幼稚園、働くならどっち?それぞれの特徴やメリットとデメリット/保育士就活バンク!

認可外保育施設

認可外保育施設とは、施設の広さなどさまざまな設置基準において、国の認可を受けていない保育施設です。
保育方針やサービスに特色がある園が多いのが特徴と言えます。

認証・認定保育園

認証・認定保育園とは、国の基準は満たしていないものの、自治体が定めた独自の基準を満たしている保育施設です。
就職するには、保育士資格または幼稚園教諭免許のいずれかが求められます。

地域の保育ニーズに応じて開設された認可外保育施設であり、園によって利用できる子どもの年齢や利用時間などは異なるでしょう。

企業内保育所や院内保育所

企業内保育所とは、企業が従業員のために、企業敷地内や近隣に設置する保育施設のことを言います。

一方院内保育所とは、病院内(またはその近隣)にあり医療従事者の子どもを預かる保育施設です。どちらも就職には保育士資格が必要とされています。

関連記事:【院内保育】一日の流れや仕事内容。一般的な保育園とどんな違いがある?/保育士就活バンク!

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託児所

託児所は、主に商業施設や医療機関などで一時的に子どもを預かる保育施設です。

託児所の利用中、保護者は買い物やレジャーを楽しむことができたり、治療に専念できたりといったメリットがあるため、利用者獲得のために設置する企業が増えてきているそうです。

関連記事:保育士資格を活かせる託児所とは。仕事内容や給料、働くメリットについて/保育士就活バンク!

国や自治体の基準に満たない保育施設

国や自治体の基準を満たしていないものの、保護者のさまざまな保育ニーズを満たすサービスを提供する保育施設が増えてきています。

<例>

  • ベビーホテル:「夜20時以降の保育」「宿泊を伴う保育」「一時預かりの子どもが利用児童の半数以上」のいずれかを常時運営している保育施設
  • プリスクールやインターナショナルスクール:海外の文化で育ってきた子どもたちのための教育・保育の施設や英語教育に力を入れている保育施設など、認可保育園にはない特色を持った保育施設

このほかに駅型保育施設や、高齢者施設に併設された保育施設などもあります。

時代とともに変わりつつある多様なニーズに応えるため、保育やサービス内容も施設によって多岐にわたるようです。

出典:よくわかる「子ども・子育て支援新制度」/内閣府

出典:企業主導型保育事業等/内閣府

保育士資格を活かせる就職先:保育園以外の児童福祉施設

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児童福祉施設とは、児童福祉法第7条によって定められた、家庭環境や心身発達などにさまざまな事情のある子どもや保護者を支援・保護・養護する施設です。(保育所も児童福祉施設の一つ)

保育園以外のさまざまな児童福祉施設でも、保育士資格を活かして働けるため、施設の概要を見てみましょう。

乳児院

乳児院は原則として0~2歳の乳児を対象に、保護者と生活ができない状況に置かれた子どもを預かり養育する施設です。
2歳以上の子どもでも、保護や援助が必要と判断された場合は入所しています。

保育士の仕事内容としては、24時間体制で子どもの保育や心のケアなどを行うようです。

関連記事:乳児院とは。働くために職員として必要な資格や施設の目的や役割/保育士就活バンク!

児童養護施設

児童養護施設は、満1歳から20歳までの子どもたちを対象として、両親の病気や経済的理由、家庭環境などの理由で、保護者と生活できない場合に養護する施設です。

仕事内容は児童指導員や家庭支援専門相談員などの職員と協力し、24時間体制で子どもの保育や心のケア、自立のための支援などを行っています。

関連記事:児童養護施設で働くには?役割や仕事内容、必要な資格を解説!/保育士就活バンク!

助産施設

助産施設は、経済的な理由などさまざまな事情で病院での出産ができない妊産婦が入院し、出産するための施設です。
「助産施設」という施設そのものがあるわけではなく、産科病院や助産所などが助産施設としての指定を受けています。

保育士の仕事内容として、医療行為以外の雑用や新生児のおむつ交換、ミルクの世話などを担当したり、施設の取り組みによっては妊婦健診の時など子どもを一時的に預かったりすることもあるようです。

母子生活支援施設

母子生活支援施設は、18歳未満の児童を養育する母子家庭などの親子を保護し、生活の支援を行う施設です。
入所や一時入所・相談という形で、生活に困窮している家庭の自立支援を行っています。

保育士の仕事内容は、入所している児童の保育や学習、生活の指導です。
母親が不在の場合、児童の保育や学校への送り迎え、学校が終わった児童たちの生活指導や学習指導を行うようです。

関連記事:母と子を守る!母子生活支援施設の支援内容とは/保育士就活バンク!

児童館

児童に健全な遊び場を提供し、健康増進と情操教育を図る目的で設置された施設です。

児童館には、職員として「児童の遊びを指導する者」を置かなければならないと決まっており、その役割を保育士などが担当します。

関連記事:児童館で働く職員になるには。必要な資格や仕事内容、給料事情も/保育士就活バンク!

障がい児入所施設

障がい児入所施設は、障がいのある児童を受け入れて保護し、日常生活が送れるように指導したり、自立に必要な知識や技能を教えたりするための施設です。

家庭での生活が困難な障がいを持つ子どもが入所しているため、保育士など職員は24時間体制で保護や支援をします。

関連記事:知的障がい児施設とは。施設の役割や事業の目的、日本の現状や課題について/保育士就活バンク!

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、その地域に住む障がいのある児童が通所して、日常生活で必要な基本的動作の指導を受ける施設です。

保育士の仕事としては、子どもが自立するために必要な知識や技能を指導したり、訓練の援助をしたりすることになるでしょう。

児童心理治療施設(情緒障がい短期治療施設)

児童心理治療施設は、軽度の情緒障がいがある児童を、短期間入所もしくは通所にて情緒障がいを治療し、自立のための支援を行う施設です。

保育士の仕事は、子どもの生活習慣の改善や教育を行い、社会に適応できるようにサポートすることになります。

児童自立支援施設

保護者に看護させることが不適当である場合や家庭環境などの理由から、生活指導が必要な子どもを入所または保護者のもとから通わせて、必要な指導を行い自立を支援する施設です。

保育士の仕事の役割は、子どもの日常の生活を支えるとともに、学校に代わって勉強の指導、職業指導などを行います。また、退所後の児童に対しても必要な相談や援助を行うようです。

保育士資格を活かせる就職先:その他の施設

上記の児童福祉施設以外に、保育士資格を活かせる就職先となる保育事業の例を紹介します。

学童保育(放課後児童クラブ)

学童保育は、保護者の就労などにより、放課後の時間に家庭で保育ができない小学生を利用対象としています。学校終了後に適切な遊びや生活の場を提供して、健全な育成を図る保育事業です。

小学校の空き教室や児童館などを利用する公立の学童保育のほか、民間会社や学校法人がさまざまなサービスを展開する民間の学童保育施設もあります。

関連記事:学童保育とは?目的や背景、放課後児童クラブなどの種類、働くために必要な資格/保育士就活バンク!

ベビーシッター

ベビーシッターは、依頼主である保護者に代わって子どもの世話をする保育サービス事業です。

保護者が仕事で忙しいなど、何らかの事情があって子どもの面倒を十分に見られないときに、一時的に子どもを預かります。

仕事場は保護者の自宅のほか、結婚式場・イベント会場・病院などに設置されている託児施設もあるようです。

チャイルドマインダー

チャイルドマインダーは、自宅や出張先で最大4人までの子どもを預かる「少人数保育」に特化した民間資格です。

少人数のため、子ども一人ひとりの年齢や性格、保護者の方針に合わせたきめ細かい保育を行えるかもしれません。保育士や幼稚園教諭免許のほかに、チャイルドマインダー資格が必要な場合もあるようです。

関連記事:チャイルドマインダーの資格を取るには?取得方法や費用、メリット/保育士就活バンク!

その他異業種

その他異業種として、子ども用衣類の販売や子ども用品を扱うメーカー・出版社、幼児教室のインストラクター、テーマパークのスタッフなども就職先の例として挙げられるでしょう。

「保育士」としてではなくとも、保育士養成校で学んだことやスキルを活かしたり子どもとふれ合ったりできる業種も、就職先の候補として考えてみるのもよいかもしれませんね。

保育士資格を活かした就職先の選び方や決め方

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保育士資格を活かした就職先の選び方や決め方におけるポイントを紹介します。

施設の理念や方針を知る

保育園や児童福祉施設など、施設の役割によって教育・保育方針は異なるでしょう。

自分の考えや保育観と園や施設の方針が合わないと、日々のさまざまな場面で納得できないことややりづらさを感じ、長く働くことが難しくなる場合もあるかもしれません。

就職先の候補はそれぞれの保育・教育の方針に共感でき、自分自身や子どもたちにとってよりよい成長が望めるような施設を選ぶことが大切なポイントとなります。

理想のイメージを意識して選ぶ

数年後にどのような先生や職員になっていたいのか、どのような能力を活かして働きたいのかを、しっかりとイメージしてみましょう。

たとえば、得意なピアノのスキルを活かして働きたい場合は、遊戯会や音楽会など行事が多く、理想のイメージに近い形で働けそうな就職先を探してみるのも一つの方法と言えそうです。

園見学や就職フェアなどで積極的に情報収集をする

新卒保育士さんのための就職フェアには、保育施設の運営法人がブースを出展しており、仕事内容や働き方、給与面、福利厚生などについて説明してくれます。

また、ブーススタッフとして参加している園長先生や先輩保育士さんと話ができるため、疑問に思っていることや実際の働き方などを直接聞き、就職への不安を解消できるかもしれません。

先生や先輩に相談する

就職先選びや決め方に思い悩んでしまった場合、「自分の将来のことだから」と一人で抱え込むのではなく、身近な人に相談してみましょう。

学校の就職課の職員や先生、園で働く先輩など、社会人としての経験がある方の意見はとても貴重です。

そういった方からのアドバイスや、客観的に見た学生さん自身の性格や個性、長所を発見することで、就職先の選び方の参考になるかもしれません。

保育園以外にも保育士資格を活かせる就職先は見つけられる!

今回は、保育士資格を活かせる就職先として、保育園や児童福祉施設などの役割や特徴、就職先の選び方や決め方のポイントを紹介しました。

共働きなどで保育を必要とする家庭の拡大や、国の新制度によるさまざまな企業の参入によって、保護者のニーズにあわせたサービスや施設など、保育にかかわる場が増加しつつあります。

さまざまな職業や施設の役割、仕事内容を理解して、「自分が何を望んでいるのか」をしっかり見極めたうえで保育士資格を活かせる就職先を選べるとよいですね。

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