保育学生さんや就活生さんのなかには、公立保育園で働きたい方もいるのではないでしょうか。公立保育園で働くには、採用試験に合格して公務員保育士になる必要があり、試験の内容や日程は各自治体によって異なるようです。今回は、公立保育園の一般的な試験内容や応募方法、試験対策のコツなどをくわしく説明します。
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■目次
公立保育園で働くための採用試験とは?
公立保育園に保育士として勤めるには、公務員保育士になる必要があります。
そのためには保育士資格を取得し、各自治体が実施する「職員採用試験」に合格しなくてはなりません。
採用試験の内容や応募方法などは自治体によって異なり、試験の日程も4月に申し込みの受付を始める自治体もあれば、8月から開始するところもあるようです。申し込み日程については役所に問い合わせたり、市区町村のホームページで確認したりすると、試験勉強の予定も立てやすくなりそうですね。
まずは、公立保育園の採用試験における対象者についてくわしく見ていきましょう。
採用試験の対象者
公立保育園の採用試験は自治体で実施しているため、対象者に求められる要件も地域によって異なります。
なかには公務員試験ということもあり、年齢に制限を設けているところもあるようです。
また、受験資格は保育士資格を有している、あるいは資格取得の見込みがある方と定めている自治体もあるため、内容によっては保育学生さんが対象となる場合もあるでしょう。
採用試験に合格することで公務員保育士になれますが、公立保育園は私立保育園のように園に直接応募するのではなく、自治体の採用候補者名簿に登録し、配属先が決まるまで待つことになります。
そして、名簿の登録には有効期限があるため、期限を過ぎても配属先が決まらなかったときは、もう一度自治体の採用試験を受けるということを覚えておきましょう。
自治体の採用試験の合格率
採用試験の合格率は自治体ごとに異なるので、明確な数字を挙げることはできませんが、一般的な公務員試験と同様にあまり高くないようです。
東京都日野市「職員採用試験結果」によると、採用試験の合格率は2020年4月の募集では約11%、それ以前の年度においても合格率が20%前後となっています。
合格率は自治体によって異なるため、合格しやすいところもあるかもしれませんが、基本的に倍率は高いと考えたほうがいいでしょう。
公立保育園の採用試験に応募する方法
公立保育園の採用試験は毎年実施されるわけではなく、地域によっては応募がない年もあるかもしれません。しかし、採用試験の応募方法について知っておけば、希望する地域で採用試験の募集があった際に、スムーズに対応できるでしょう。
公立保育園の採用試験の応募方法としては、以下のような方法が挙げられます
- 直接役所に行って手続きをする
- 必要な書類を郵送して、申込み手続きをする
- ホームページ上で電子申請をする
- 採用試験の専用サイトに登録して応募する
応募方法としては、必要な書類を役所の担当部署に郵送して申し込み手続きを行う方法を採用している自治体が多いようです。また自治体によっては、採用試験の専用サイトに登録して応募したり、市のホームページ上で電子申請したりして応募できるケースもあります。
必要な書類を用意するのに時間がかかることも考えられるため、公立保育園に勤めたい保育学生さんは早めに準備しておきましょう。
公立保育園の採用試験の内容
採用試験の内容は自治体によって異なりますが、一般的に、筆記試験が行われる1次試験と、面接を中心に行う2次試験の2つに分けられます。
採用試験の科目は事前にホームページなどで発表している自治体もあるようですが、それぞれどのような内容なのかくわしく見ていきましょう。
1次試験
1次試験では、主に教養試験、専門試験、適性検査、作文試験などが行われます。
教養試験は時事問題、社会や自然など一般知識における文章理解力、数的推理力を見られるようです。専門試験では、社会福祉、保育原理、障害児保育などについて出題されるため、保育士としての専門的な知識を求められるでしょう。
適性検査に関しては、性格特性検査を行うところもあるかもしれません。作文試験は課題式で指定の文字数はさまざまですが、教養試験及び専門試験で一定の点数に達しなかった場合は、採点の対象にはならないこともあるようです。
2次試験
2次試験は市役所などで面接が行われます。
1人あたり30分程度の面接時間で、受験者の人柄や保育士としての職務に関連する知識について見られるようです。
採用試験は1次試験、2次試験の結果を総合的に判断して最終的な合否が決まるため、どちらも気を引き締めて臨むことが大切でしょう。
自治体によっては、3次試験まで行われたり、実技試験を行なったりするところもあるため、受験する自治体がどのような流れで試験を行うのか把握しておくことも重要といえそうですね。
公立保育園の採用試験に向けての対策方法
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採用試験の対策として筆記試験、実技試験、面接のポイントを紹介します。
筆記試験の対策
筆記試験の勉強方法として、独学で勉強する方法と専門の塾などを利用する方法が挙げられるでしょう。
参考書を購入して勉強する
公立保育園の採用試験では、保育士としての専門的な知識だけでなく、一般常識や時事問題など幅広い知識が求められるようです。
自治体によっては市のホームページなどで過去問を掲載しているところもあるので、筆記試験の対策として出題の傾向を確認しておくと、必要となる参考書なども選びやすくなるでしょう。過去問を繰り返し解いて理解を深めていけば、苦手な問題も解きやすくなるかもしれません。
専門の塾や通信講座を利用する
公務員の採用試験に特化した塾や通信講座を利用することも、対策の一つといえるでしょう。
塾や通信講座を利用することにより、筆記試験の出題傾向がつかみやすくなるので、勉強する科目を絞ることができるかもしれません。
自治体の採用試験について塾や通信講座で把握していれば、日程や必要な書類などの情報を提供してくれるところもあるようなので、応募の期限を過ぎることが少なくなりそうですね。
塾では講師の方の講義を対面で受けられるという利点があり、通信講座は通う必要がないため自分の好きな時間に勉強できるというメリットがあります。独学で勉強すると集中力が途切れてしまう方やモチベーションが上がらないという方は、塾や通信講座の利用を検討してみてもいいかもしれません。
下記は保育士試験の勉強方法の記事になりますが、効率よく勉強するコツなどが記載されているため参考にしてみてくださいね。
関連記事:「保育士試験の勉強のコツとは。合格に向けた筆記・実技の対策や勉強方法/就活バンク」
実技の対策
公務員保育士の採用試験では、実技試験が行われることもあるでしょう。
実技科目は自治体によってさまざまですが、ピアノの演奏や絵本の読み聞かせを試験内容としているところもあります。
ピアノ演奏は演奏力を見られる場合と弾き歌いを行う場合があり、ピアノの演奏はプロのような上手さではなく、保育士として働くうえでの演奏能力を判定しているようです。
絵本の読み聞かせでは、滑舌よく台詞を詰まらずに読むだけでなく、登場人物になりきって笑顔で読むことが大切になります。
いずれにしても、公務員保育士として働くための実技試験ですので、子どもたちが目の前にいることを想像して練習するといいでしょう。
さらに自治体によっては、設定されたテーマに合う絵本を応募者に選定してもらい、指導案の提出を求めるところもあるようです。採用試験は募集要項の内容をきちんと読み込むことで、求めてられている人物やスキルが分かるかもしれません。
下記の記事では、保育士試験における実技試験のポイントを分かりやすく説明しているので参考にしてみてくださいね。
関連記事:「保育士の実技試験とは。造形やピアノ、言語表現の内容や対策/就活バンク」
面接時の対策
採用試験の2次試験では面接が行われることがあるため、ポイントを押さえておくことが重要になります。
面接のポイントについて具体的に見ていきましょう。
志望動機や自己PRを考える
面接では志望動機や自己PRについて聞かれるかもしれません。
志望動機について話すなかで、どうして公務員保育士を目指すのかや、私立保育園ではなく公立保育園を選んだ理由など、面接官に聞かれることがあるようです。当日スムーズに答えられるように、質問を想定して自分の考えをまとめておきましょう。志望動機をきちんと話すことで、面接官の方に公立保育園に入職したいという熱意が伝わるかもしれません。
保育学生さんや保育士としての就業経験がない方の場合、実績経験よりも人となりや公務員保育士になりたいという熱意を見られることがあるため、自己PRではあらかじめ保育に絡めた自分の強みを考えておくと、話しやすくなるでしょう。
質問を想定して、自分の考えを明確に伝える
公立保育園での採用面接では、私立ではなく公立を選んだ理由やその自治体を選んだ理由などを聞かれることが多いようです。また、障害児保育や病児保育などについてどう考えるかなども聞かれることがあるかもしれません。
もちろん、採用面接の基本となる保育士を目指すようになったきっかけや保育士として働くうえで活かせる能力やアピールポイントなども質問されるでしょう。
どんな質問であっても、落ち着いて自分の考えを面接官に伝えることが大切になります。事前にいくつか質問を想定しておき、自分ならどう回答するかを整理しておくとよさそうですね。
以下の記事では、保育士の面接でよく聞かれる質問とその回答例をまとめているんで参考にしてみるとよいかもしれません。
関連記事:「【保育士の面接対策】面接で聞かれる質問例。長所・短所など受け答えのしかたや対策/就活バンク」
公立保育園で働くことで得られるメリット
公立保育園で働くためには採用試験に合格する必要がありますが、そもそも公立保育園で働くことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
公立保育園で働くメリットについてくわしく説明します。
給与や福利厚生が安定している
給与や福利厚生が安定していることは、公立保育園で働くことのメリットの一つです。
公立保育園で働く保育士は地方公務員となるため、私立保育園よりも給与や福利厚生が安定しているといわれています。
また、産前産後休暇や退職金制度など保育士さんとしての待遇が充実しているところもあるようです。生活面が安定することにより、園で長く働き続けることができるかもしれません。
失業する可能性が低い
失業する可能性が低いことも、公立保育園のメリットとして挙げられます。
公立保育園は運営母体が自治体のため、経営基盤がしっかりしていることもあり、廃園となって失業する可能性は低いといえるでしょう。
研修や指導体制が整っている
公立保育園では、研修や指導体制が整っていることがメリットといえます。
公立保育園では給料や待遇に恵まれている園もあるため、長く働いている保育士さんもいることでしょう。そのようなベテランの保育士さんに指導してもらうことで、新卒保育士として働きながら保育に関する技術を向上させられるかもしれません。
また海外研修旅行制度など研修制度が充実している園であれば、自分のスキルアップにもつながりやすくなりそうです。公立保育園では長く働き続けることで給与が上がる傾向にあるので、いずれ役職に就きたいと考えている方は向いているかもしれませんね。
受験方法や対策を理解して、公立保育園の採用試験に臨もう
今回は、公立保育園で働くための採用試験について、試験内容と応募方法、試験の対策について説明しました。
公立保育園は給与や福利厚生が安定しているため、公務員保育士を目指す方は少なくないようです。公務員保育士の採用試験は各自治体で実施していることもあり、応募資格や方法などがそれぞれ異なるので、受験する方は事前にしっかり確認しておくことが大切になります。
採用試験の勉強をするときは、独学で勉強したり専門の塾に通ったりと、自分に合った方法を選ぶといいかもしれません。採用試験の合格率は地域によってさまざまですが、なかには倍率が高いところもあるため、しっかりと対策をしてから臨みましょう。