一般学生よりも開始時期が遅い保育士の就職活動。「就職先がなかなか決まらない」ということを防ぐためにも、保育学生さんは事前に流れをつかめるとよいですね。今回は、保育士の就活スケジュールや特徴についてくわしく紹介します。あわせて、就職先の例や有利に進めるためのポイントも具体的にまとめました。
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保育士の就職活動の特徴
そろそろ就職活動を始めたいけれど、いつからどのように進めればよいのか分からない保育学生さんもいるでしょう。
一般企業の就職活動とは違った特色が見られるため、ここでは保育士の就職活動の特徴を紹介します。
一般的な就活に比べて開始時期が遅い
夏から求人開始の園が多い
保育学生さんは卒業時に保育士資格を取得できるため、卒業見込みがあればいつでも就活を開始できるでしょう。
しかし、在職中の保育士さんの退職ピークは3月頃のため、新年度に向けて新しく人員を確保したい園は、夏くらいから求人募集を始めることが多いようです。
そのため、保育学生さんの就活は一般学生より開始時期が遅く、6月くらいから選考が始まる場合が多いかもしれませんね。
国家試験の時期が影響する
指定保育士養成施設でない学校で保育士を目指している場合は、国家試験で保育士資格を取得します。
そのため、保育士資格の合格通知をもらった後から、就活を開始する流れになるでしょう。
特に後期試験で合格した場合は冬に就活を始めることになるので、一般的な学生と比べて開始時期がかなり遅れることになりそうです。
保育実習の後に始める場合もあるよう
学校によって保育実習の時期は異なるものの、多くの場合は最終年度の4月~10月頃に行われることが多いようです。
実習期間は慣れないことが多くて忙しく、就活を並行して行うことが難しいことが考えられます。
そのため、保育学生さんは自分の実習期間をしっかり調べ、無理のない就活スケジュールを組む必要があるでしょう。
就職活動で応募する法人数が少ない
保育士の就活の特徴として、就職活動で応募する法人数が少ないことが挙げられます。
以下は、2017年8月に保育士資格を持つ20代~50代の男女163人にアンケートを取った結果です。
<就職活動の時、複数の園に同時に応募をしましたか?>
上記から分かる通り、就職活動で応募・面接した園の数の平均は1~2園で、多くの方が単願応募であることが分かります。
単願応募であれば面接や試験などその園に合わせた対策ができるため、忙しくても平行して就活を進められるでしょう。
しかし、自分に合っている園を見極めるのが難しかったり、選考に落ちたときは就活が長引いたりするというデメリットもあるかもしれません。
また、以下は就職活動で応募・面接した園の数を表したグラフです。
<就職活動で応募・面接した園の数は?>
1園に応募した保育学生さんが圧倒的に多く、併願応募でも2園や3園のケースがほとんどのようです。
併願応募の場合は自分に合った園を選びやすくなるものの、スケジュールが過密になりやすいという特徴があるでしょう。
そのため、保育学生さんは単願応募と併願応募のメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った方法で就活を進められるとよいですね。
最近は一般的な就活スケジュールに近づいている
保育学生さんの場合、一般的な就活と比べて開始時期が遅いと先述したものの、園によっては春や夏から求人がある場合もあるかもしれません。
2000年の規制緩和によって多様な事業主体が保育園を設置できるようになったり、小規模保育園の設置が促進されていたりすることが一因のようです。
園は人員を確保できるように、春から新卒可の求人を出していることも考えられるでしょう。
そのため、早くから就活に取り掛かって「就職先が決まらないのを避けたい」という保育学生さんは、春頃から求人を探してみてもよいかもしれませんね。
在籍学校の就職支援課の利用が多い
保育士の就職活動の特徴として、学校の就職支援課の利用が多いことが挙げられます。
以下は、保育学生さんの情報収集の方法についてまとめたグラフです。
出典:保育学生の就職活動に関して緊急アンケート!特徴は「単願応募」/株式会社ネクストビートから抜粋
大学の求人票・先生の紹介などで、情報収集をしている方が多いことが分かりますね。
しかし、学校とつながりのある園の情報しか得られないというデメリットもあるので、自分でインターネットを使ったり、就活フェアに参加したりすることも必要でしょう。
保育士の就職活動開始の時期
ここでは、保育士の就職活動を始める時期についてまとめました。
公立保育園の場合
公立保育園の場合は、8月頃から採用試験が行われることが一般的です。
ただし、自治体によって募集時期はさまざまのようなので、あらかじめ自身でしっかり調べておきましょう。
私立保育園の場合
私立保育園の場合は、基本的に6月頃から就活を始める場合が多いようです。
しかし、現在は多様な事業主体が保育園を運営しているため、4月から就職フェアや園見学を始めるケースもあるかもしれませんね。
関連記事:公立の保育園に就職するには。給料、求人と採用試験、民営化ついてなど/保育士就活バンク!
保育士の就職活動のスケジュールと流れ
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ここからは、就職活動のやり方について解説します。
卒業前年度の1月~:就活準備
業界研究を行う
就職活動を始めたら、まずは業界研究を行うとよいでしょう。
保育士の役割について調べたり、どのような施設で働けるのかを確認したりすると業界への理解が深まるかもしれません。
業界研究を通して、「自分はどこで働きたいのか」を明確にできるとよさそうですね。
自己分析をする
最終学年が始まる前に、自己分析を行っておくとよいでしょう。
自己分析とはモチベーションが上がった出来事や頑張った経験を思い出し、自分の長所・価値観などを理解することを指します。
自分について分かれば自己PRや志望動機を作ることにもつながるので、就活が本格的に始まる前に行っておくとよさそうです。
就活の軸を決める
自己分析が終わったら、就活の軸を明確にします。
就活の軸とは、自分が仕事をしたり園を選んだりするときの基準のことを指します。
自己分析をもとに、自分が希望する働き方や園の方針などを書き出し、求人を選ぶときに役立ててみるとよいでしょう。
卒業前年度の3月~:情報収集
説明会に行く
説明会では保育方針・働き方・待遇面などを運営法人から説明を受け、疑問に思ったことについては自由に質問できるようです。
説明会の開催についてはインターネットで調べたり、電話をかけたりしてみてくださいね。
園見学に参加する
園見学では子どもの様子や雰囲気、保育士さんが働く姿などを目で見て確かめることができるでしょう。
基本的に園見学は自分で申し込む必要があるようなので、電話をかけてお願いしてみるとよさそうです。
卒業年度の6月~:書類の作成・提出
学校を通しての求人などは、6月くらいから応募を開始することが多いようです。
自分の志望する園がどの時期に応募を始めるか、園見学で確認したり学校の先生に聞いたりするとよいかもしれませんね。
ここでは、履歴書とエントリーシートの作成方法を解説します。
履歴書を書く
履歴書は出身地・住所・学歴など、自分のパーソナルデータを書き記す書類です。
マナーやルールを守りつつ、誤字・脱字のないように丁寧に記入しましょう。
エントリーシートを作る
エントリーシートとは、志望動機や自己PRなどを記入する応募用の用紙です。
各園・各法人で仕様が違うため、応募したい園のエントリーシートを直接取りにいったり、WEBや郵送などで取り寄せたりする必要があるでしょう。
卒業年度の8月~:選考
続いて、選考の流れについてくわしく説明します。
筆記・実技試験を受ける
法人や園によっては、選考に筆記試験や小論文、実技試験(ピアノや絵本の読み聞かせなど)を課す場合があるようです。
試験がある場合はどのような内容であったかを事前に調べれば、選考に落ちることを防げるかもしれませんね。
面接に行く
面接は就職活動の最大の山場となるでしょう。
想定される質問に対しての受け答えや、服装、身だしなみについてなど、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
内定獲得
選考に合格すれば、晴れて内定獲得となるでしょう。
これからお世話になる園なので、内定のお話をいただいた際にはしっかりと感謝を伝えられるとよいですね。
また、入職前には懇談会や事前研修が設けられる場合もあるようです。
関連記事:自己分析の簡単なやり方。行う目的や就活に活かすためポイント/保育士就活バンク!
関連記事:就活における軸とは。見つけ方や決め方、面接での答え方の例/保育士就活バンク!
関連記事:【徹底解説】園見学の流れとポイント。質問や挨拶の例文、服装や持ち物、電話やお礼状マナー/保育士就活バンク!
関連記事:履歴書における注意点。書くときや送るときのポイント/保育士就活バンク!
関連記事:エントリーシートにおける注意点とは。作成時や郵送時のマナー、ミスしないための対策/保育士就活バンク!
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保育士の就職先の例
ここからは、保育士の就職先の例をまとめました。
県外の園へ就職(上京・Iターン)
県外に就職する場合は、地元就職に強い大学で求人を探すのは難しいかもしれないため、保育士専門の求人サイト・保育士就活支援サービスなどを利用するとよいでしょう。
特に待機児童問題が深刻な大都市では、保育士として活躍を求められる場が多くあるだけでなく、キャリアアップ制度や職員宿舎借り上げ支援などのサポートもあるようです。
県外の園へ就職したい保育学生さんは、事前に居住したい地域の制度をしっかり確かめておくとよいかもしれませんね。
地元の園へ就職(Uターン)
保育士さんの就職先の例として、自身が生まれ育った地元の園に入職することが挙げられます。
特に地方の園で働く場合、家賃が都会よりも安かったり、人口が少なかったりして生活しやすくなりそうです。
都会の慌ただしい生活から離れ、落ち着いて働きたい保育学生さんにはぴったりでしょう。
海外や保育園以外への就職
保育学生さんによっては、海外で就活を行う方もいるかもしれません。
場合によっては海外でも保育士資格を活かすことができ、インターナショナルスクールや日本人向けの保育園などで働けるようです。
また、保育士資格を活かせる場所は保育園・幼稚園以外にもあり、主に以下のような施設で働くことができるでしょう。
児童養護施設 | 家庭の事情で育てられない子どもが入所する施設。 |
学童保育 | 学校終了後や長期休暇中に小学生の子どもを預かる施設。 |
ベビーホテル | 20時以降や宿泊を伴う認可外保育施設。 |
子育て支援センター | 育児中の家庭を地域でサポートするために作られた施設。 |
介護施設 | 特別養護老人ホーム のように、介護や医療が必要な高齢者が入所する施設。 |
放課後等デイサービス | 障がいを持つ子どもが放課後・休日・長期休暇の期間に通う施設。 |
子ども服専門店 | 子ども服を販売している店舗。 |
保育学生さんは自身の適性や興味などを踏まえ、就職先の選択肢を広げてみるとよいかもしれませんね。
出典:平成21年地域児童福祉事業等調査結果の概況:用語の定義/厚生労働省
保育士の就職活動を有利に進めるコツ
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最後は、就職活動を有利に進めるポイントについてまとめました。
学校の就職課に相談する
就職活動をうまく進めたいときは、学校の就職課に相談してみましょう。
就職課のスタッフに相談すれば就職活動の進め方や、履歴書・エントリーシートの書き方を教えてくれるかもしれません。
また、保育の養成校には保育園の求人が届くことがあるようなので、こまめに掲示板などをチェックしておくとよいでしょう。
就活フェアに参加する
多くの園の情報を集めたい保育学生さんは、就活フェアに参加してみるのも一つの手です。
就活フェアとはさまざまな法人や企業が一つの会場に集まり、説明会を行うイベントのことを指します。
就活フェアに参加すれば多様な園を比較できたり、自由に質問・相談をしたりできるかもしれませんね。
保育士の就活支援サービスを利用する
保育士の就活支援サービスに登録すれば、就活を効率的に進めることができるでしょう。
アドバイザーが保育学生さんに合った園を紹介してくれたり、履歴書・エントリーシートの書き方も教えてくれたりするようです。
また、「就職先が決まらない」「選考に落ちる…」などの悩みを抱えている保育学生さんも、アドバイザーがしっかりサポートしてくれるでしょう。
保育士の就職活動の選択肢は広がっている
今回は、保育士の就職活動はいつから行うのかや、流れなどについて紹介しました。
保育学生さんの就職活動は一般の学生と異なり、開始時期が遅いことが多いようです。
しかし、最近は少しずつ早まっている傾向があるため、「就職先が決まらないのを避けたい」という保育学生さんは春ごろから始めるとよいでしょう。
また、就職活動を有利に進めたい場合は、就職課で志望動機を添削してもらったり、保育士就活支援サービスに登録したりするとよさそうです。
特に、就活支援サービスでは「面接に落ちる…」という悩みを抱えた方のサポートや、面接日程の調整も行ってくれるでしょう。
ここで紹介した就職活動のやり方を参考に、自分に合った保育園を選べるとよいですね。
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